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生チョコで春の花を表現!ハウス食品の研究者が送った彩り豊かな留職の日々

ハウス食品の研究職・中西さんはマザーハウスに留職し、日本の四季をテーマにした生チョコレートの製造から販売に取り組みました。

その経験から「食に関する事業で環境問題に取り組みたい、という仕事を通じて成し遂げたい志を見つけられた」と振り返る中西さん。どのような留職の日々を送ったのでしょうか。

留職に参加したきっかけ

中西さんが2021年5月から翌年2月まで活動したのは(株)マザーハウス。「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念のもと、バングラデシュなど6カ国でアパレル製品を生産。それらを日本や台湾・香港・シンガポールで販売しています。中西さんはそのなかでも「食」をテーマにした事業を行うリトルマザーハウスのチームに派遣されました。

リトルマザーハウスが手掛けるイロドリチョコレート

リトルマザーハウス(以下、LMH)は「途上国から『食』の可能性を世界に」を掲げ、第一弾としてインドネシアのカカオと日本の農産物を組み合わせたチョコレート製品の製造販売を行っています。

入社7年目、「一度会社の外に出て、自分の仕事と社会のつながりを見つめ直したい」と国内での留職に参加した中西さん。LMHでは商品開発から製造・販売まで、事業全体に携わることになりました。

留職初日、LMHのリーダー小田さん(写真・左)から事業説明を受ける中西さん(写真・右)

食品のプロとして課題解決に奮闘

留職1ヶ月目。中西さんは国内のチョコレート生産工場や、原料となる果物の農家さんを訪問していきました。生産者とつながる経験を重ねつつ、食の品質については自分の知識を活かせると感じたといいます。

原料のひとつ、牛乳の生産地にも訪問

LMHのメンバーや現場の方々と話していくうち、みんなが「より良い品質を目指したい」という思いを常にもっていると気づきました。

そこで、チョコレートの保存性や原料チェックなど検証を重ね、商品規格の見直しを実施。同時に社内で勉強会を開き、メンバーに食品管理の知識を深めてもらいました。

一方、メンバーは当時についてこう振り返っています。

LMHはスタートして間もなく、何もかも手探り状態でした。この状況で中西さんは専門知識を惜しみなく共有して改善に本気で取り組んでくれて、本当に助かりました。

「リトルマザーハウスの一員」として商品を作りたい

留職開始から5ヶ月。研究職のときは直接的にお客様と対面することのなかった中西さんが、催事でチョコレート販売を担当しました。

チョコレートをお客様に手渡したとき、自分がより深く開発に関わった商品を、自分で手渡したいという気持ちが生まれました。

留職中は「ハウスの中西」として、専門知識を活かした課題解決に取り組んできましたが、「リトルマザーハウスの一員」として商品を生み出すことはできてなかった。残り4か月の留職期間で、これに挑戦したいと思うようになりました。

店舗に立つ中西さん

そう思っていた矢先、中西さんに機会が訪れました。バレンタイン向け商品の企画・開発を任されたのです。

何ができるだろうか。一人で考えるだけでなく、メンバーにも話を聞いてみました。そうすると、みんなが一度ゼロから製品を作ってみたいと思っていることに気づきました。

ゆくゆくは実現したい自社製造に向けて一歩目を踏み出したい。そんなメンバーの想いを知り、自分が最大限の成果を出せるのはこれだ、とバレンタインに向けて生チョコレートの開発・製造プロジェクトを始動しました。

LMHに残したインパクト


中西さんとLMH、どちらにとってもゼロから商品を製造するのは初めての経験でした。中西さんはチームメンバーと製造の準備を進めつつ、商品のコンセプト決めやパッケージデザイン等にも取り組みました。これまでハウス食品で研究を専門にしてきた中西さんにとって、全てが新しい経験だったといいます。

商品の梱包作業もチームで実施

2ヶ月の開発期間を経て、ついに生チョコが完成。出来上がった「生はるはな」は、春に咲く花をイメージしたという彩り豊かなチョコレートです。

中西さんは自ら店頭に立って販売し、自分が手掛けた商品をお客さんに手渡すことができました。

「生はるはな」はバレンタインに合わせて発売された

LMHのチームリーダー・小田さんは、中西さんの活動をこう振り返ります。

彼の活躍ぶりをみてバレンタイン案件を企画から任せたら、新商品の開発だけでなくそれ以上のことを実現してくれました。それは自社製造につながる一歩を踏み出せた、という理由だけではありません。

一連の『生はるはな』プロジェクトは、一人ひとりのメンバーのやりたい気持ちが集まり、形となったから意味があるんです。このメンバーの想いを引き出し、紡いでくれたのが中西さんでした。失敗も成功も一緒に経験してくれた中西さんは、いまやLMHの大切な一員です。

チョコレートから見つけた自分の志

9ヶ月間の留職を通じて、中西さんは商品に関わる様々な人に出会い、事業開発に対する新たな視点を得たと言います。

ハウス食品では、社会のニーズに合わせた商品開発が基本でした。一方でLMHはメンバーの想いを起点に事業を生み出していく。「こんな商品があったらいいな」から始まるアプローチがあるんだ、という発見がありました。

この経験から「何をつくりたいか」という僕の意思や志が大切だと気づいたんです。留職は自分が仕事を通じて成し遂げたいことを考えるきっかけになりました。

そんな中西さんは留職中に行われたクロスフィールズの担当マネージャーとの1on1を通じて、「食に関する事業で環境問題に取り組みたい」と思うようになったようです。

もともと自然が大好きで大学院では海洋生物の研究をしましたが、今の仕事とは無関係で、結びつけられないものだと思い込んでいたんです。

だけどLMHで、自分たちの想い‥‥例えば、「お客様の心を動かす」「自然本来の色と味付けにこだわる」など理想を大切にしたチョコレートをつくってみて、事業を通じてやりたいことは実現できるのだと視点が変わりました。

ハウス食品では「人々の生活が地球環境に及ぼす影響が小さい社会」の実現につながる事業を立ち上げたいです。たとえば低い環境負荷で生産可能な高栄養価の商品や、持続的な生産システムの構築など。まだ妄想レベルですが、小さいステップからやってみようと思っています。

留職者・中西さん(上段・左端)とLMHチームのみなさん

編集後記

最終報告会で「これからやりたいこと」を楽しそうに語る姿が印象的だった中西さん。LMHメンバーの「中西さんがイキイキとしてる姿に巻き込まれたし、大変なことも乗り越えられた」という声があったように、これが彼らしいリーダーシップなのだと感じました。自分の志や熱意を周囲に伝え、活躍していく姿に期待が高まります。(広報・松本)

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