ジェンダー平等とは?これからの社会であるべき企業の姿や取り組み事例をご紹介!
ジェンダー平等の実現に向けて、世界規模で国家や企業がさまざまな取り組みを続けています。日本国憲法に「法の下の平等」や「両性の本質的平等」という文言があるとおり、日本でもジェンダー平等の重要性が認められていることに異論はないでしょう。
今回はジェンダー平等の理解を深め、企業において実践していくためにジェンダー平等に関する知識や情報、日本企業の取り組み事例を紹介します。
ジェンダー平等とは
ジェンダーとは社会的または文化的役割としての「性」あるいは「性差」のことです。男女の間には社会的な差別や偏見による不平等がいくつも存在します。
ジェンダー平等はこれらの差別や偏見をなくすために国際社会で取り組むべき課題です。
ジェンダー平等の意味
ジェンダー平等とは、「男女の区別なく責任や権利、機会を平等に分かちあい、物事を一緒に決めていくこと」だと言われています。性別によって役割や責任が異なる、人生の選択肢が狭まるなどが起こらない社会を目指す考え方として、国際社会で重視されています。
SDGsの目標5として掲げられている
SDGsの目標5は「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」です。ジェンダーに関するあらゆる差別の撤廃や暴力の排除、公共サービスやインフラ、社会保障政策を提供すること、無報酬の育児・介護や家事労働を認識し評価することなど、9つのターゲットが掲げられています。
SDGsの前文にも「ジェンダー平等とすべての女性と女児の能力強化を達成することを目指す」ことが書かれています。また本文の宣言20においても、「ジェンダー平等の実現と女性・女児の能力強化は、すべての目標とターゲットにおける進展において死活的に重要な貢献をするもの」と述べられており、ジェンダー平等はSDGsの核心部分に位置づけられているといってよいでしょう。
ジェンダー不平等指数は目安のひとつ
ジェンダー不平等指数(GII:Gender Inequality Index)は国ごとの人間開発における男女間の格差を示す指標です。性と生殖に関する健康、エンパワーメント、労働市場の3つの側面を評価してランク付けしたもの(HDI rank)を国連開発計画(UNDP)が発表しています。2020年のHDI rankは189カ国中19位でした。
ジェンダー平等の達成度をはかる別の指標としては、世界経済フォーラムで発表されるジェンダーギャップ指数(GGI)もあります。ジェンダーギャップ指数については以下の記事で詳しく解説しています。
企業がジェンダー平等を目指すために知っておくべきこと
企業がジェンダー平等を進めていくにあたっては、現状の課題とジェンダー平等推進の必要性、ジェンダー平等の実現で得られるメリットなど理解しておくことが大切です。
ここでは、ジェンダー平等を目指すために知っておきたい情報を紹介します。
日本の男女間の賃金格差は24.5%
OECD(経済協力開発機構)の調査によると、OECD加盟国における男女の賃金格差は平均13.6%でいまだに差が開いています。日本は24.5%もの賃金格差があり、OECD加盟国内では韓国についでワースト2位です。
雇用機会の格差や女性の管理職割合の低さ、平均勤続年数の短さなどが賃金に差が開く原因として考えられています。
女性活躍の推進は企業にメリットがある
少子高齢化が進む日本では労働力不足の解消が緊急の課題です。2015年の生産年齢人口は7,629万人でしたが、2030年には6,773万人に、2060年には4,418万人にまで減少すると見込まれています。
このような現状において、企業によるジェンダー平等の取り組みは優秀な女性人材の確保につながる可能性を生み出します。具体的にな取り組みとしては育児休暇が取得しやすい体制づくり、リモートワークの推進、女性リーダーの育成などがあげられます。
従来の配属を見直すことも大切です。古典的な日本企業では、女性であれば事務職や一般職として採用するケースが多くありました。しかし現在、商品やサービスの開発、営業やマーケティングなどで活躍する女性社員が多く存在します。たとえば男性社員と異なる視点から画期的なアイデアが生まれた例は数多くあり、ヒット商品の開発や売上向上といった直接的な成果も期待できます。
女性が活躍し、ジェンダー平等への取り組みが進んでいる企業は、環境・社会・企業統治が重視されるESG投資における評価につながります。投資家は事業の社会的意義や成長の持続性につながるものとして女性活躍を重視しているためです。経済産業省と東京証券取引所は共同で女性活躍度調査を行い、女性が活躍できる企業を「なでしこ銘柄」に選定しています。
CSRやSDGsへの取り組みが求められている
企業が持続可能な社会への取り組みを行うことは、もはや世界的な潮流です。企業にはその規模にかかわらずCSRやSDGsを意識した具体的な行動が求められています。女性の活躍はCSR・SDGsともに重視されている要素のひとつです。ジェンダー平等を進めることで、CSRやSDGsの取り組みの面でも評価されるでしょう。
また、組織強化に有効なダイバーシティ&インクルージョンの観点からも、ジェンダー課題の解決は重要事項です。
ジェンダー平等に向けた日本企業の取り組み事例
日本企業の中には、ジェンダー平等へ向けて意欲的な取り組みを行っているところもあります。ここでは、女性の活躍を推進する企業3社を紹介します。
株式会社コーセー
コーセーの「人権の尊重」の取り組みでは、LGBTなど従業員の多様性に配慮する目的で新任管理職研修を行っています。「ダイバーシティの推進・働き方改革」においても、女性が輝く風土づくりの一環として在宅ワーク制度の導入を開始しました。
化粧品を通して性別はもちろん、年齢や障がい、LGBT、地域、宗教といった多様な顧客満足の取り組みをしています。
佐川急便株式会社
佐川急便には手厚い子育て支援制度があり、従業員は仕事と育児の両立が可能です。厚生労働省から「子育てサポート企業」として認定を受けています。
また、トラックを使⽤せず台⾞や⾃転⾞で集配を⾏うサービスセンターの地域展開を推進し、その数は全国で325カ所となりました。サービスセンターの拡大は女性の就業機会の増加につながっています。
楽天株式会社
楽天では産休や育児休暇から早期復帰しやすくするために、社内に搾乳室が設けられています。本社には2015年から託児所も設置されました。
女性従業員がライフイベントでキャリアが妨げられなることがないように、手厚いサポートを多く用意していることから、楽天は「MSCI日本株女性活躍指数」(WIN)」と「MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)」の構成銘柄にも選定されています。
ジェンダー平等に取り組み、ダイバーシティの加速へ
ジェンダー平等はこれからの企業のあり方を決めていくうえで、避けては通れない重要な課題です。
日本のジェンダー平等への取り組みには国内外から厳しい目が向けられています。一方で、企業含め日本社が全体としてジェンダー平等を掲げて女性が活躍できる仕組みづくりに成功すれば現状の変化につながります。企業としてもジェンダー平等に取り組むことで、社内の人材確保や成果向上に寄与するだけでなく、必要性が高まっている「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現に一歩近づくでしょう。
NPO法人クロスフィールズは、社会課題体感フィールドスタディやVRワークショップなど「多様な人や価値観と出会う」事業を通じて、企業のダイバーシティ経営の加速を支援しています。具体的な取り組みは公式noteやホームページでご紹介しています。ぜひ参考にしてください。