事例から学ぶESG導入のポイント。押さえておきたい基礎知識も紹介
見出し画像

事例から学ぶESG導入のポイント。押さえておきたい基礎知識も紹介

近年注目を集めるESG。特に事業を推進する中にESGを取り込むESG経営が広がりを見せています。ESGの基本から、ESG経営を行うことでのメリットについて解説します。また、実際にESG経営を行い、コーポレートサイトなどを通じてESGの課題や解決のためのプロセス、達成している内容などを発表している5つの事例についても紹介します。

ESGの事例を知るための基礎知識

画像1

ESGとはそもそもどのようなことを定義するワードでしょうか。ESGの成り立ちとセットでよく使われるSDGsやCRSとともに解説します。

■そもそもESGとは

ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの言葉の頭文字を取った造語です。昨今、この3つの視点から企業を分析して投資する「ESG投資」が注目されており、それに対応するように企業のESG経営が広がりを見せています。ESGはそれぞれ以下の観点が必要とされています。

Environment:CO2排出量を削減する、廃水などの水質汚染の抑制、マイクロプラスチックなどの環境問題対策。再生可能エネルギーの使用や生物多様性の確保などの観点

Social:労働条件や男女平等、多様性に配慮した職場を構築するなどの適切な人権対策。ワーク・ライフ・バランス、児童労働問題、地域社会に対する貢献などの観点

Governance:業績を悪化に導くような不祥事の回避策、リスクマネジメントによる情報開示や法令順守。資本効率化進めるための観点

■ESGとSDGsとの違いは?

ESGは同じく注目を集めるSDGsとセットで語られることが多いキーワード。SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月に国連がまとめた「持続可能な開発目標」であり、2030年までに世界で達成すべき目標を17項目に分けて掲げられています。

SDGsは地球上にすべての人を定義しており、到達するための目標であり目的。SDGsは国連や各国政府が主体ですが、ESGは投資家の視点。またSDGsという目的を達成するための手段に位置づけられます。

■ESGとCSRとの違いは?

CSR(Corporate Social Responsibility)は企業が活動するうえで社会的責任として定義されます。

CSR自体は決して新しい概念ではなく、1956年に経済同好会のCSR決議が起点となっています。1990年代には企業の不祥事とともに企業倫理問題に発展し、2003年にさまざまな企業でCSR室が設立され、CSR経営元年と呼ばれるようになりました。

CSRは企業からのアピールで企業視点であり、ESGは投資家の視点で掲げられていることが大きな違いといえるでしょう。

■ESGがなぜ社会から求められているのか

ESGの3つの視点で企業を分析して投資する「ESG投資」が、昨今注目を集めています。ESGを経営に積極的に取り入れない企業は投資家から将来の成長が見込めない企業として投資を受けにくいことが予想されます。

このことからESGを経営に取り組むことは単なるコストではなく、企業間の競争を優位的に推進するための戦略であると経済産業省のレポートでも指摘されています。

従来、企業価値は業績や財務状況の分析が主流でしたが、非財務情報であるESGについても世界経済フォーラムで採点手法が発表されました。ESG投資に必要なESGスコアが重要視されはじめたこともESG経営の注目を後押ししています。

■ESGが企業に与えるメリット

ESG経営が企業に与えるメリットは、投資家から支援を得る以外にも以下のようなことが考えられます。

ブランド価値の向上:「この企業は社会貢献している」という認識を消費者や労働者が持ち、共感を得ることでブランド力を向上させることができます。

経営リスクの軽減:自然環境破壊、劣悪な労働環境、社会規範を無視する企業活動は大きなリスクを負います。ESG経営が企業内に浸透することで社員意識が向上し、離職率の低下や人材確保がしやすくなる効果も期待されます。

従業員へのメリット:社員では達成感や充足感が高まり、やりがいや生きがいが向上します。
注意点はメリットばかりに目を奪われていると、表面的な施策になってしまうこと。そうならないためにESG経営を組織全体で取り組み、事業に落とし込んでいく必要があります。

ESGを経営に取り入れた3つの事例

画像2

ESG経営を取り入れた企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。金融、食品メーカー、商社の3つの業種でどのように取り組んでいるか具体例を紹介します。

■ESGの事例その1:SOMPOホールディングス株式会社

損害保険を中心にさまざまな金融商品を取り扱い三大メガ損保として社会的に影響のあるSOMPOホールディングスでは、責任のある保険引受や投融資においてESGに配慮した体制を構築しています。

2020年12月より、既存案件を除き、日本国内の石炭火力発電所の新規建設に関する保険引受・投融資を原則として行わないことを表明。環境に配慮した取り組みを加速させています。

■ESGの事例その2:味の素株式会社

製品の企画、原料調達から製造まで国際色豊かな社員が働く味の素では「外国人労働者向け多言語対応ホットライン」の運用を開始しています。

現時点では味の素と一部の関係会社での運用ですが、今後は、サプライヤーや製造委託先で働く外国人も利用できるよう推進する予定もあります。対応する言語は8カ国で外国人労働者が職場や仕事の悩みを気軽に相談できるような職場環境の構築に寄与することを目標としています。

■ESGの事例その3:住友商事株式会社

強制労働やハラスメント、差別などの人権リスクを特定して、軽減したり予防したり、救済したりする措置である人権デューデリジェンスに基づいて、人権尊重の課題を8つの項目に特定。

金属やインフラなどの事業部門別に労働条件、結社の自由と団体交渉権、強制労働・自動労働などの8つの項目で存在するリスクを有識者ヒアリング、社内インタビューなどを通じて取り組みや効果を開示し、取り組みの評価を進めています。

ESGの事例を参考に企業価値を高めよう

画像3

投資家から資金調達を行う企業であっても、市場に公開していない企業であっても、今や企業成長を継続的に進めるためにはESG経営は避けて通れない道でしょう。

重要な部分は、ESGの項目を名目上で掲げるだけなく、本業の中に組み込んで経営戦略と同時に進めること。事例で紹介した各企業のESGも非財務項目として目標と達成具合を具体的に提示して情報発信しています。計画と情報開示が重要な意味合いを持つのがESG経営といえるでしょう。

NPO法人クロスフィールズは、社会課題の現場と企業で働く人をつなぐさまざまな事業を行っています。具体的な取り組みは公式noteやホームページでご紹介しています。ぜひ参考にしてください。




社会課題の現場と企業で働く人をつなぎ、課題解決とリーダー育成を目指すNPO法人クロスフィールズの公式noteです。新しい取り組みの数々や、その裏にある一人ひとりの物語をお届けします。