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漁師町でウニと向き合う3ヶ月が、バリバリの営業パーソンにもたらした変化


東京海上日動火災保険(株)の藤田さんは、7年にわたり営業の第一線で活躍してきました。

目標を達成する、そのために成長する。気づけばそれしか考えていませんでした。実際必要なことなんですが、このままじゃダメだとも思っていて。誰かのために全力を注ぐ経験がしたかったんです。だから国内留職への参加を決意しました。

藤田さんが2020年11月から翌2月まで国内留職したのは、岩手県・洋野町で活動する(株)北三陸ファクトリー。水産物をはじめとする地域食材の加工から販売を一貫して手がけ、地域活性化などに取り組んでいます。従業員数1万人以上の大企業から、漁師町のベンチャー企業に留職した藤田さん。待っていたのは透き通った海とそこですくすく育つウニ、そして水産業を取り巻く課題でした。

おいしいだけじゃない。ウニを取り巻く課題とは

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留職先の北三陸ファクトリー(以下、KSF)は、水産物の養殖と加工販売を通じて、水産業の衰退という地域課題に取り組んでいます。洋野町では漁師の高齢化が進み、後継者問題が深刻化しているからです。KSFは価値に見合う価格で水産加工品を販売しビジネスを拡大することができれば、若者の雇用を増やせると考えています。

現地の取り組みを肌で感じた藤田さん。これからの3ヶ月に向け、決意が固まったといいます。

大切に育てられたウニはとんでもなくおいしかったんです。だけどウニは買い叩かれていた。この現状を変え、適正価格での商品流通を実現したいと思いました。そのために販路を拡大する。自分の経験を活かして営業戦略に取り組むことを決めました。

課題発見のキーは「おしゃべり」?

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藤田さんがまず行ったのは、とにかく話すこと。社長から工場のおばあちゃんまであらゆる人と対話を繰り返しました。そうするなか、2つの課題を発見します。ひとつは「お客様の声」の分析。KSFでは、オンライン販売で顧客から届いた声を詳細に分析し切れていませんでした。そこで約200件の「お客様の声」を読み込み、改善点を洗い出し、対策に取り組みます。もうひとつが収益データの可視化です。300種以上ある商品の収益データを誰もがわかる形にしました。

お客様の声の分析も収益データの可視化も、みんなが『いつかやらなきゃ』と思いながら後回しになっていました。だから今回自分が実行したとき、たくさんの人に協力してもらえたんだと思います。一方でこれらを活用した営業戦略を実行するには、それが可能な組織体制が必要だと気付きました。だから最後の1ヶ月は組織改革に取り組んだのです。

「よそもの」がもたらした変化のきっかけ

KSFでは、新工場の建設やコロナによるオンライン販売の拡大など、多忙な時期が続いていました。そのため社員が目の前の業務で精一杯に。周りの状況がわからないから、仕事を頼みにくい。するとミスが起こり、対応に追われる。そんな悪循環に陥っていました。

自分は『よそもの』だから思い切ろう。という気持ちで、一人ひとりがタスクを共有できる仕組みづくりや、コミュニケーションに関する社内アンケートを実施しました。

KSFの眞下さんは、藤田さんが来てから「組織が大きく変わった」と振り返ります。

アンケートを行ったこと自体が、コミュニケーションを見つめ直す機会になったんです。現在は以前より互いの業務を気にかけ、自発的に動く姿勢が生まれていると感じています。

3ヶ月にわたり、藤田さんは彼自身が動くことよりも周りの人が動くこと優先し、それを具体的な取り組みとして実行してくれました。動くべき人が動く組織に変えてくれたんです。これが実現できたのは彼が一人ひとりの話を丁寧に聞いたから。対話から組織の課題を見つけ、理想を示して周りを巻き込み、解決へと導いてくれました。

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「一社員」から解放されて見つけたもの

東京に帰ってきた藤田さんは、もう「一社員」ではありませんでした。

活動の序盤で営業戦略を作り、全員に発表してみました。反応はよかったけど『じゃあ実際、何をすればいいのかな』と聞かれてしまって。そこから火がつき、目標の販路拡大につながることは何か、考え続け、行動し続けました。気付けばKSFのゴール達成しか考えていなかったです。

自身のコミュニケーションにも変化が起きたといいます。

これまで雑談は無駄だと考えていました。でも今回、話をする大切さを痛感したんです。それは課題発見だけでなく、変化を生み出す上でも重要だと。何かを変えるにはメンバーが納得し、動く必要がある。KSFでは対話し納得してもらったから、販路拡大という共通のゴール達成を目指してチームプレーができたと感じています。

留職ではよそものだから思い切れた。でも実は、これって会社でもできるんです。今まで無意識のうちに『あくまで一社員』と自分の可能性を制限していたと気付きました。これからは一人のリーダーとして働きたい。どんな部署やポジションになっても、共通のゴールに向けて協力しあえる職場づくりに取り組みます。

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編集後記

「今後の目標は?」と聞くと「語学堪能なマッチョになること(笑)」と答える藤田さん。ユーモアに溢れる人柄とは裏腹に、「北三陸のウニの価値をもっと多くの人に認めてもらいたい」と現地への想いを語る目は真剣そのものでした。北三陸での取り組みがいつか大きな変化につながること、そして一社員の枠を超えた藤田さんのこれからが楽しみです。
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「枠を超えて橋をかけ 挑戦に伴走し 社会の未来を切り拓く」。クロスフィールズの公式noteです。新しい取り組みやチャレンジと、その裏にある一人ひとりの物語をお届けします。https://crossfields.jp/