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ハウス食品の研究者が「2度の越境」で見つけたリーダーシップの形

CROSS FIELDS

ハウス食品・技術開発チームでグループ長を担当している大西さんは、2016年にインドネシアへ4ヶ月にわたり留職しました。「留職先のインドネシアと帰国後の日本での環境が大きく違っていて、逆にカルチャーショックを受けた」という大西さん。

2度の越境経験を通じてリーダーシップを発見していったといいます。インドネシア、そして日本での挑戦と葛藤について伺いました。

大西耕大郎氏
ハウス食品 研究所に勤務していた2016年に留職へ参加。
インドネシアで農家支援を行うAliet GreenにてR&Dなどを担当。
現在はアメリカの豆腐事業に関する技術開発チームにてマネージャーとして活躍中

灼熱のなかR&Dを繰り返して生み出した成果 

――まず、留職に参加したきっかけを教えてください

新卒から研究所で勤務しており、10年近く1つの製品を担当していました。環境に慣れるうち仕事をこなしている自分に気づき、漠然と「このままでいいのだろうか」と思っていました。仕事を通じて組織や社会にどう貢献できるのか、もっと広い世界を見て考えたい。そんな気持ちから留職への参加を決めました。

派遣先はインドネシアの社会的企業・Aliet Green(アリエットグリーン)。オーガニックのココナッツ製品の生産と販売を通じて、現地の農家支援に取り組んでいました。自分はココナッツを使用した新製品の開発や既存製品の品質管理など、いわゆるR&Dを担当しました。

活動開始、メンバーから事業についてヒアリングしていった(本人・写真左)

活動を開始すると、私のために団体のメンバーが研究室を特設してくれました。半野外の4畳半でかなり暑かったのですが、小さなオフィスにわざわざスペースを作ってくれたことがとても嬉しくて。彼らの期待に答えようと毎日実験を繰り返し、新製品の開発と品質向上に取り組みました。

灼熱のなかで実験を繰り返す自分にメンバーは興味を持ってくれて、どんどん質問してくれたり、味見を手伝ったりしてくれました。こうした交流を通じて、アリエットグリーンに「R&Dのプロセス」を直に伝えられたことは、留職での成果の1つだと思っています。当時のアリエットグリーンはこれからR&D部門を設立予定だったため、自分がいなくなってもメンバーが自走できるようなサポートをしたかったのです。

団体メンバーと意見交換をする大西さん(写真・右)

一方でアリエットグリーンから学んだことも沢山ありました。

あるとき実験がうまくいかず、成功するまで同じ実験を繰り返していました。それを見たメンバーから「止まるくらいなら別の方向に進むべき」とアドバイスをもらい、ハッとしたんです

R&Dはしつこさも大切ですが、柔軟に方法を変えたり、俯瞰的に全体を見てどこまで執着するか線引きしたりすることも必要なんだと。

誰のための事業か……考えながら走り続けた4ヶ月

――そこまで留職をがんばれたモチベーションは何だったのでしょうか?

一番は「ココナッツ農家の方々に対して何かしたい」という想いです。あるとき農村を訪問し、農家の方々やその家族と出会ったのですが、彼らの暮らしがアリエットグリーンの活動によってより良くなっていることを目の当たりにしました。

また、アリエットグリーンのメンバーはみんな「利益を農村に還元したい」という気持ちで一丸となり、活き活きと働いていました

そんな環境で働いていると、自分もメンバーの一員という意識が芽生えて、アリエットグリーンと農家の方々のためになる活動をしたいという気持ちで頑張れたし、すごく楽しかったんです。

アリエットグリーンのメンバーと大西さん(写真・中央)

留職活動では常に「誰のための事業か」と考えながら走り続け、この意識を持って日本に帰国しました。会社に戻ったときは「これから社会のための仕事、社会課題解決型の事業を創っていこう」とかなり気合いが入っていました。

日本で待っていたのは逆カルチャーショック

――インドネシアの小さな団体から日本の大企業へ、帰国後の環境変化も大きそうですね

留職後は所属元の研究所に戻ったのですが、その環境にかなり驚きました。なんとなく、全体の一体感があまりないなと……。

メンバー全員が同じビジョンを共有していたアリエットグリーンとはずいぶん違ったんですよね。いま振り返ると小さいベンチャー企業と大企業の研究所の雰囲気が異なるのは当然ですが、帰国直後はそのギャップがショックだったんです。

一方で、留職を通じて大企業の持つリソースの豊かさや社会に与えるインパクトの大きさを実感していて、会社に戻ったら何としても社会課題解決型の事業を実現したかったんです。だからその重要性を周囲に説得していきました。

でも、なかなか賛同を得られませんでした。意識の高いやつが何か言っていると思われていただろうし、説得する方法って得策ではなかったと今では感じています。ただ当時はそれがわからずに「なぜ社会課題解決につながる事業の大切さに気づいてくれないのだろうか」と1年くらい悩んでいました。
この時期はしんどかった。

転機が起きたのは帰国から1年が経った頃でした。説得するのではなく自分がやりたいことを「率直に伝える」という方法にしてみたら、徐々に共感してくれる人が出てきたんです。誰かを巻き込むって共感が大切なんだと、このとき実感しました。

同時に研究所で「週に1日は新しい取り組みの時間に充てよう」という試みが始まっていて、そこで食を通じた社会課題解決のビジネスアイデアを提案しました。すると賛同者してくれる人が集まり、自分のアイデアを元に新規事業を立ち上げるチームが生まれました。今でもこのチーム活動は続いていて、メンバーと社会課題解決型事業の創出に挑んでいます。

越境経験で気づいた「共感を大切にするリーダーシップ」

――留職中と帰国後、2度の越境によって、大西さんらしいリーダーシップを見つけていったんですね

現在はマネージャーとして5名のメンバーを率いる立場になりましたが、今までの経験がとても活きていると感じています。特に強く意識しているのは、「チームが共通のビジョンを持ち、同じ方向性をめざす」こと。アリエットグリーンで一体感のあるチームの強さを実感し、そんな組織づくりをしたいなと思っています。

そのためにはまず自分でビジョンを見出す必要があります。誰も答えを教えてくれません。事業を通じて社会に生み出したい価値を考え抜くことは大変ですが、面白さも感じています。考えたビジョンはメンバーに伝え、一緒にブラッシュアップしました。その結果、いまではみんなが同じ方向へ向かってまとまっていると感じています。

現在の業務では大豆や豆腐に関わる製品を担当していますが、与えられた仕事以上の成果を生み出したいです。フードロスやプラスチックゴミなど、食にまつわる課題はまだまだ沢山あります。仕事を通じてこうした課題を解決していきたいと強く思っています。

編集後記

大西さんは穏やかな人柄とは裏腹に、「社会課題解決につながる事業を行いたい」という志を持って挑戦し続ける熱さがありました。インタビューでは「社会課題で困っている人々に対して、誰かが手を差し伸べる世界にしたい」と、クロスフィールズのビジョンに対して共感してくださり、とても心強く感じました。こうした方々も巻き込んで、社会課題が解決され続ける世界を実現していきたいです。(広報・松本)

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