
企業のレジリエンスを高めて安定経営を目指そう
企業が安定成長を続けることは多くの経営者が目指すところです。しかし、変化が激しいVUCAの時代で企業が存続するためには、柔軟かつ迅速な対応が求められています。
安定経営を行うためには、困難をしなやかに乗り越える「レジリエンス」を兼ね備えた企業へと進化する必要があるのです。
今回は企業にとってのレジリエンスとは何かを説明し、レジリエンスが求められる理由や高める方法について解説します。
レジリエンスの高い企業や組織とは
新型コロナウイルスのパンデミックにより、第三のニューノーマル時代が到来したといわれています。激しく変容する社会に対応するために、企業においてもレジリエンスを高めることが必要です。もともと、レジリエンスには「回復力」や「復元力」「弾力性」という意味があります。ビジネスの世界においては「困難な状況に適応して危機を乗り越え、成長していく力」として捉えられている言葉です。ここではレジリエンスの高い企業組織はどのような条件を備えているか解説します。
■会社と社員、社員同士の信頼関係が築けている
組織力の高さは、企業レジリエンスにとって重要です。企業の構成メンバーがお互いに信頼しあってこそ、非常事態での適応力や耐久力が発揮できるためです。
個人レベルのレジリエンスにフォーカスしても、支え合う仲間がいることで安心感や連帯感が生まれ、強いストレスのなかでも冷静で的確な対応を取りやすくなります。
■レジリエンスの高い人材で組織されている
個々のレジリエンスの高さが、結果として組織全体のレジリエンスを高めます。レジリエントな人材は、会社が困難な状況にあっても目標達成まで粘り強く業務に取り組むことができます。
レジリエンスの高い人は組織改革や異動・転勤でもパフォーマンスを落とすことなく、あらゆる状況変化への順応が柔軟かつスピーディです。
個人のレジリエンスについてはこちらで詳しく解説しています。
■確固たる企業理念や経営ビジョンがある
社員全員が共通の目的を持てば方向性が統一され、企業のレジリエンスの高さにつながります。そのためには社員一人ひとりが自分事として捉えられるよう、企業理念やビジョンの浸透を図ることが大切です。
理念やビジョンを業務に反映させることで自社にしかできない商品やサービスが生まれ、ブランド力や独自性を市場にアピールできます。確固たる企業文化や企業風土の熟成にも期待できます。
■危機管理能力とイノベーション力が高い
企業のレジリエンスを高めるためには、経済的な危機に備えて財務状況の健全性を保つ必要があります。世界のSDGsランキングである「Global 100 Index」では、持続可能性のある企業の評価基準として財務状況も重視しています。
緊急事態の対応をすぐにとれる体制づくりも重要です。コロナ禍では速やかにテレワークへの移行を進めていくなど、企業が社員の働き方を変えられる柔軟性が試されました。急激な市場変化に適応するイノベーションを可能にする技術力や企画力も、企業のレジリエンスには不可欠といえるでしょう。
レジリエンスが企業に求められる理由
生産年齢人口の減少や外国人労働者の増加、多様化する働き方に企業は対応する必要があります。新興国の台頭や経済状況の変化、自然災害など企業活動への影響を予測するのは非常に困難です。企業にはどんな変化にも対応できるレジリエンスが求められています。
■目標達成と安定成長を図る
困難な状況のなかでも継続的に目標達成できる企業は安定的な成長を図れます。そのためには企業が挑戦し続けることが必要です。
不測の事態が起きて挑戦し続けることが難しくなっても、レジリエンスが高い企業はイノベーションを起こして困難を乗り越えます。まさにピンチをチャンスに変えられる力を持っているといえるのです。
■どんな変化にも臨機応変に対応する
ニーズや流行の変化、ITテクノロジーの発達による社会変容など、VUCAと呼ばれる急速な時代の流れに対応することが求められています。このVUCA時代に柔軟な対応力を発揮するのがレジリエンス企業の特徴です。
■企業の存続危機に素早く対応できる
災害やパンデミックなど不測の事態はいつでも起こりえます。自社製品やサービスが何らかの理由で売れなくなったとき、社員を守るためにも素早い対応が必要です。社内の抜本的な改革や事業変更などで危機を乗り切った企業の事例は数多くあります。
企業がレジリエンスを高めるには
VUCA時代に企業が生き残るためにはレジリエンスを高めることが大切です。企業のレジリエンスを高める要素はさまざまありますが、ここでは独自性や希少性、計画的な経営、変化への対応力について紹介します。
■独自性や希少性
自社に希少性や独自性のある商品またはサービスを持っていれば、「替えがきかない」という強みがあるためレジリエンスが高いといえます。
しかし、時代の流れに沿って変えるべきものとそうでないものの見極めも大切です。後発の競合他社の動向にも注意し、自社の強みを活かす方法を考えていくことが重要でしょう。
■長期的な視点を持った計画経営
可能な限り未来を予測し、起こりうる事態を複数想定して備えておけば企業のレジリエンスは高まります。人口構造の変化など確定している事象から、いくつかのシナリオが予想されている未来の状況まで見通して、計画的な経営を行うことが求められます。
■急激な変化にも耐える対応力
未来予測をしていたとしても社会環境の変化をすべて想定することはできません。想定外の変化に短期間で対応しなければならない事態も起こりうるのです。
たとえば新型コロナウイルスのパンデミックは、社会に多くの変容をもたらしました。消費者行動の激変やテレワークの推進に苦労した企業が多くありました。このような急激な変化にも対応できる柔軟性や可塑性を備えることが重要です。
レジリエンスは持続可能な企業経営に不可欠
企業のレジリエンスは変化の激しい現代において必要なものとなりました。新型コロナウイルスの感染対策で世界の状況が一変したように、いつ何が起こるかを予測するのは難しいものです。
持続可能な企業であるためには、どんな困難な状況にも耐えられるようブランド力を高めたり計画的な経営に努めたりする必要があります。また、社員同士の信頼関係の構築やレジリエンスが高い人材の育成といった組織強化を図ることも重要です。
NPO法人クロスフィールズは、社会課題の解決とリーダー育成の両方を実現するさまざまな事業を展開しています。具体的な取り組みは公式noteやホームページで紹介しています。ぜひ参考にしてください。