VUCAとは何? 求められる背景と対VUCAに必要なこと
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VUCAとは何? 求められる背景と対VUCAに必要なこと

変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の4つの言葉からなるVUCA(ブーカ)。この4つの単語をまとめて「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」と定義され、現在は「VUCAの時代」とも言われています。企業経営や人材要件を決める場でも頻繁に登場するキーワードになぜ注目が集まるのでしょうか。VUCAに対応するために必要な企業や組織のあり方や、人材育成に必要な基本的概念を紹介します。

VUCA(ブーカ)とは?

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「VUCA(ブーカ)」とは、社会環境がめまぐるしく変化し未来の予測が困難な状況を示す造語です。「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を並べています。

1990年以降、旧ソ連が崩壊してから世界情勢はそれまでの資本主義VS.社会主義という対立構図だけでは予測不能となりました。当時アメリカで軍事用語として使われ始めたのが「VUCA」です。VUCAを構成する4つの要素はどのような状態をさしているのか、例とともに紹介します。

■変動性(Volatility):激しく変動する事象

VはVolatilityを指し、変動性が高い状態を表します。例えば日本では2010年に9.7%だったスマホ保有率は、2016年にパソコンと並び、2020年には86.8%となりました。2010年にスマホの8倍ほどあったパソコンの保有率はスマホの後塵を拝し、その差はますます広がっています。

たった10年で情報端末の価値における位置関係は入れ替わり、例えばパソコン向けだったWebサービスは今やスマホが中心。一度成功したサービスだからといって、いつまでも優位性を保ち続けることはできないような変動性が示しています。

■不確実性(Uncertainty):確実ではない事象

UはUncertaintyを指し、不確実性を表します。例えば、2008年のリーマンショック後、大きく落ち込んだ経済は2011年に入り景気は持ち直しつつありました。

しかし経済成長の兆しがみえてきたところに東日本大震災が起こり日本経済は一変。特に災害時の脆弱性が露呈し、日本はエネルギー政策をゼロベースで見直す必要に迫られています。このように誰にも予測がつかないような事象を不確実性と呼びます。

■複雑性(Complexity):複雑な要因に関わる事象

CはComplexityを指し、複雑性を現しています。ITの進化で世界との距離は近くなりました。

世界中で利用できるサービスも数多く登場しましたが、そのまま日本で簡単に導入できるわけではありません。法規制によって浸透しづらいサービスもあります。例えば一般人による配車サービスや空き部屋レンタルなどがあります。

一見すると簡単に取り入れられそうですが、日本の法律や社会的な事情が絡み合って上手く進まないのが現状です。

■曖昧性(Ambiguity):明確な手法が及ばない事象

AはAmbiguityを指し、曖昧性とは明確な解決方法が見つからない曖昧な状態を示しています。例えば、これまではマスメディアが主導するマーケティングによって流行やトレンドが生み出される側面がありました。

しかし近年ユーザーの興味は多方へ分散しており、それぞれの価値観で消費活動を行います。このため常に変化するWebサービスの中で、どこをターゲットとしてどのような手段で広告を打てばいいか正確に判断することは難しくなっています。このような明確な手法が見つからない状況が曖昧性と言われています。

VUCAに注目が集まる背景とは

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ビジネスの現場でVUCAという言葉が頻繁に登場するようになったのは、2010年に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)において、人類が直面する現状を示した「VUCA World」という発言がきっかけと言われています。

テクノロジーの急速な変化、世界で広がる気候変動や災害などによって引き起こされる市場変化と重なりVUCAに注目が集まるようになりました。その背景を深掘りしましょう。

■急速の変化するテクノロジー

AI、IoT、ロボティクス、DXなど、近年新しいテクノロジーや概念が次々と登場しています。しかも急激な進化をとげており、一昔前では遠い未来の話だと思われていた運転支援機能付き自動車や、高精度で制御可能なドローン、家電をコントロールするAIスピーカーなどはすでに実用化しています。

例えばすでに実現している飲食店において入店から会計まで一切ヒトが関与しないようなDXは、今後ロボティクスやセンシング技術がもっと活用されるようになれば、さらに加速していくでしょう。

■急速かつ急激な市場変化

1950年代以降日本の経済を支えてきた中心的プレイヤーは製造業。しかし、現在モノは飽和し、コト社会へと大きく変革の時を迎えています。

例えば、自動車メーカーが車という「モノ」を作るだけでなく、サブスクリプションという「コト」によるビジネスを開始しました。

日本の特異な就職方法である新卒一括採用も通年の都度採用が本格化し、終身雇用も終焉を迎えつつあるといえるでしょう。

ITテクノロジーの進化、少子高齢化による人口減少によって、市場のニーズが多様化し、複雑化していることがVUCAに注目が集まる背景として考えられます。

■人材競争力の強化に欠かせない原則

VUCAの時代を引き起こしているグローバル化、デジタル化、少子高齢化による社会・経済環境の大きな変化について、経済産業省では「人材競争力強化のための9つの提言」として掲げています。

①人材戦略を掲げること
②多様性の尊重
③ミッション・ビジョンの明確化
の3つを大原則とし、この原則を具現化するために、
④柔軟な報酬制度・キャリアパスの整備
⑤ミドルリーダーの育成
⑥企業文化や評価の構築
⑦個人の自律的な成長を支援
⑧経営競争力を強化する人事部門の構築
⑨経営トップが人材戦略に積極的に関与


という6つの方策を示しています。企業が変革をするために、いかに人材育成が重要であるか、改めて確認することができるのではないでしょうか。

対VUCAに必要されるポイント

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企業の経営にはVUCA時代に対応できる変化が求められています。これまでの概念や考え方では前進できない時代だからこそ、企業の発展に欠かせない人材にも新たな人物像を描かなければなりません。

変動的で不確実な時代だからこそ、答えのない問いに向き合う思考をもった人材の採用・育成が必要になってきます。

■VUCA時代に対応した企業成長のカギ

VUCAの時代に企業を成長させるためのマネジメントの要素は大きく4つあります。

ビジョンの明確化:不確定要素が多いからこそ、明確なビジョンを掲げる必要があります。企業が進む方向を提示することで社員の自発的な行動を促せます。

積極的な新情報のインプット:成功体験や事例に縛られることなく、新しい情報を取り入れる柔軟性と積極性が必要になります。

ステレオタイプの排除:固定観念に縛られ、思い込みで行動する人材はVUCA時代を牽引できません。だからこそ、状況に応じた柔軟な発想が求められます。

選択と集中:暗中模索が続くことも予想されます。だからこそ、局地的に選択と集中を実行する必要があります。

■VUCA時代に求められる人物像の描き方

VUCA時代に求められる人物像は、4つのスキルを背景として描く必要があります。

スピード感のある意思決定力:技術やサービスの変化にスピード感をもって対応し、意志決定できるスキル。

適切な問題解決力:誰しも正しい答えがわからない、明確な解決策を持てない時代の中で課題の本質を捉えて解決に向けて突き進む問題解決スキル。

多様性を受け入れるグローバル力:単に語学力というだけでなく、地域の特性や多様性を受け入れられるコミュニケーションスキル。詳しくはこちらの記事で紹介しています。

臨機応変な対応力:これまでの成功事例にとらわれず、柔軟な思考を持って臨機応変に行動できるスキル。

VUCAの時代を意識した企業や人材のあり方を考えよう

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VUCA時代は従来の「正解だけ求めれば良い」という発想は通用しない時代とも言えます。人材育成においても「答えの無い問いにチャレンジできる人材」の育成が求められます。

その育成方法として注目されるのがアクティブ・ラーニング。文部科学省が2017年に公示した「新しい学習指導要領の考え方」にも提示され、今教育の現場でもっとも熱い教育法です。「積極的・能動的な授業・学習」が目指すのは「答えのない問題」に向き合い、他人と協調しながら解決する力を養うこと。

かつての学びは正解があり、そこにいかに早くたどり着けるかで評価されていました。しかし現在、論理的整合性が取れている正解はもちろんですが、重視されるのは正解に「誰もが納得できるか」。それは多様化した社会課題の解決にはVUCA時代に対応できる人材が不可欠であることを示しています。

企業が成長するためには、能動的に課題に対処できる人材育成が欠かせません。VUCAの時代に必要な人材要件を今一度考えてみましょう。

NPO法人クロスフィールズは越境学習を通じてVUCA時代を牽引するリーダー育成をサポートしています。具体的な取り組みは公式noteやホームページを参考にしてください


社会課題の現場と企業で働く人をつなぎ、課題解決とリーダー育成を目指すNPO法人クロスフィールズの公式noteです。新しい取り組みの数々や、その裏にある一人ひとりの物語をお届けします。