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ドコモ社員が教育系ベンチャーに越境!留職から1年半、それぞれに生まれた変化とは?

NTTドコモの前田さんは2021年に留職(国内派遣)に参加し、中高生に探究プログラムを提供するラーニングデザイン・ファームのタクトピア(株)で約1年にわたり活動しました。今回は前田さんと受け入れ先であるタクトピアの木村さんから、留職中やその後の変化について当時プロジェクトマネージャーとして伴走したクロスフィールズ法幸(ほうこう)が深掘りしました!

インタビュイー
前田奈都子さん(写真中央):2015年NTTドコモへ入社。店舗営業等を担当後、21年に留職。
現在はNTTコミュニケーションズ スマートエデュケーション推進室へ出向し、
デジタル英語教材の導入促進に取り組む 

木村彩乃さん(写真右):タクトピア事業統括本部長/ラーニングデザイナー。
留職中は前田さんの成長に向き合い、共に事業の推進を行なった 

インタビュワー
法幸勇一(写真左):クロスフィールズ 事業統括マネージャー。
前田さんの留職の企画設計から活動中の伴走、プログラム後のフォローアップまで一貫して担当 

全く異なる環境で「やるしかない!」留職で得たリーダーシップ

法幸:留職からもう1年半経ちますね。改めて前田さんが留職に参加したきっかけを教えてください。 

前田:留職に参加したのは入社7年目のタイミングでした。それまでは店舗営業を担当していたのですが、入社時から抱いている「テクノロジーを活用して、より多くの人々に教育の機会を提供したい」という目標に向かって何か行動を起こしたい……と考えていた時に社内で留職の公募を見て、思い切って応募しました。

 法幸:実は前田さんと初めて面接で話したときから、タクトピアさんがピンときていました。タクトピアさんは、多様な価値観や文化を尊重するグローバルな視点を持ちながら、自分らしく活躍する「グローカルリーダーシップ」の育成を掲げて教育事業を展開されているので、良いシナジーが生まれそうだなと。 

木村:留職者の受け入れは前田さんが2人目でした。1人目はコロナ禍で 大きな 変化があった 2020年。「留職者」というこれまでタクトピアと関係のなかった人材を受け入れたところ、新しい視点を提供してくれて、私たち自身の気づきが生まれるなどポジティブな変化がたくさん起こったので、引き続き受け入れたいと考えていました。前田さんが加入した2021年は、ちょうど新規事業を加速したいタイミング。本人としては、 なかなかのチャレンジだったようですが……。
 
前田:4月に活動が始まると、すぐ「7月に実施する中高生向けのイングリッシュキャンプ事業を担当してほしい」と、集客から運営まで担うことに。初めての経験だけどマニュアルがない。どうしよう……と頭がいっぱいになりました。
 
木村:以前もイングリッシュキャンプを開催していたのでノウハウはありましたが、それを踏襲するより前田さんらしい方法で行動してほしかったんです。なので、細かく指示通りのことを行ってもらうのではなく、1つのプロジェクトに対して責任者として携わり、自分でやり方を考えて遂行するなかで、新たな価値を生むことに挑戦をしてほしいと思っていました。
 
前田:最初は悩むだけで、時間だけが経ってしまって。あるときJust do itだ!って考え直してから物事が進み、仕事も楽しくなっていきました。

前田: このスタンスに変わったのは、別のプログラムの現場見学がきっかけでした。開始直後は消極的だった生徒が楽しそうな表情に変わり、どんどん発言していく様子をみて「この経験をもっと多くの人に届けたい!」という気持ちに。そうしたらイングリッシュキャンプの集客や運営も「どうしたら生徒に届くだろうか?」という考え方に変わっていったんです。

 木村:そこからの前田さんは担当するプログラムにオーナーシップを持って、行動に表れていったよね。あとは全国の生徒に向けたオンラインクラスの運営も担当してもらいましたが、ここでもしっかりと成果を出してくれました。

留職者がもたらした組織の変化とは?

法幸:前田さんが留職した1年で、タクトピアはどのように変化しましたか?

木村: 前田さんはプログラムの企画設計という、事業の価値提供のコアの部分にも携わってもらいました。それまでワークショップの設計に留職者が入ることはなかったんです。でも前田さんは教育事業に対する熱意や専門的な領域にも意欲を示してくれたので、設計にも携わってもらう決定をしました。その結果、新たな視点が加わり、ワークショップに深みが増したので、 今では様々な立場の関係者も巻き込んで設計しています。
 
前田:私が設計に携わったプログラムの反応を、生徒から直に感じられるのは本当にいい経験でした。楽しんでいる生徒の様子や彼らとの会話は今でもよく覚えています。
 
木村:重要なプロジェクトにも前田さんをアサインしていたので、前田さんとタクトピアの成長は比例するようになっていきましたね。 そうした挑戦的なアサインができたのも、法幸さんと定期的に「どんなアサインが前田さんの成長にとってベストか?」と話ができたからです 。法幸さんには当社のビジョンに強く共感いただき、様々な相談に乗ってもらえたので、 組織として一段と成長できる機会になりました。

留職経験を活かしてチームリーダーとして活躍

法幸:留職後の現在は、どのような業務を担当していますか?

前田:現在は英語のデジタル教材のチームに所属しています。自治体や学校に向けた導入促進に取り組んでいて、チームリーダーも担当しています。当社の技術を活用してデジタル教材を開発し、英語の基礎学力の向上を目指す、という事業です。まさに入社時からやりたかったテクノロジーを活用した教育事業で、やりがいを感じながら働いています
 
大変な時もありますが、「タクトピアで1年がんばれたから、今の自分ならできる」という自信があるし、実際に留職経験は日々活きています
 
たとえばチームの作り方。現在は4名のメンバーと働いており、誰でも気兼ねなく意見を出せる雰囲気づくりを意識しています。タクトピアはチームワークを大切にしている組織で、そこでインターン生をまとめる立場も経験できたので、この経験はかなり活きていますね。
 
あとは自分の意見を発信しながら、スピードを持って行動すること。留職中は常に「自分はどうしたいのか」と問われていたので、自然と考えて発信するクセがつきました。行動するときも「まずやってみて、失敗したらもう一度考える」という、留職で得たJust do itの姿勢で動けているなと感じています。

法幸:留職から戻ってきて、自社の強みにも気づいたと話していましたよね。
 
前田:多様な事業と日本全国に拠点があることが強みだなと感じています。当社は通信関連をはじめ様々な事業を展開しているので、日本全国にある当社の拠点と協力してデジタル教材を各自治体・学校へ紹介しています。
 
こういった連携をする際は、ICT教育の必要性と当社が取り組む理由をちゃんと伝えるようにしています。相手が共感してくれるから、協力して教材の普及につながるんです。今後も色んな人とコミュニケーションを重ね、彼らを巻き込みながら多くの方々に当社のデジタル教材を届けていきたいです。

約1年間の越境経験は人生の財産


法幸:最後に、木村さん・前田さんへお互いメッセージをお願いします!
木村:リーダーになったことは今日初めて聞いたのですが、とても嬉しいですね。大きな組織を活用して、前田さんの目標の実現に向けてどんどん進んでほしいです。1つ伝えたいのは、誰かに決められたものではなく、自分で決めたゴールを目指して昇っていってほしいということ。前田さんにはたくさんの可能性があるから、自分を信じて突き進んでください!
 
前田:木村さんから貰って大切にしている言葉が2つあります。
 1つが「今は踊り場」です。「止まったように感じるときもあるけど、考えて努力し続けたら必ず次のステップに進める。今はそのために必要な踊り場なんだよ」という言葉をかけてもらってから、どんな時でも考え続ける意識を持っています。
 
もう1つが「ワンシーン・ワンバリュー」。どんな場面でも自分らしい価値を出すということは常に意識していて、大きな会議でも役職に関わらず発言するようにしています。これら2つの言葉と、木村さんやタクトピアのみなさんと働けた1年は、私にとって財産です。

インタビュー後記

スピード感を持って力強く事業を推進するタクトピアさんと、困難に直面しても粘り強く挑戦し続ける前田さんに、いつも勇気をもらっていました。今回1年半ぶりに再会し、留職後もタクトピアでの経験を活かして成長を続ける前田さんの姿を頼もしく思いました。同時に、前田さんとタクトピアさんと再び協働する日まで、私も挑戦を続けようと決意を新たにする、そんなインタビューでした!(法幸)