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CSR企業ランキングとは?評価方法やトップ10企業を紹介!

「企業の社会的責任」を意味するCSR。このCSR活動に取り組む日本企業を東洋経済新報社が「CSR企業ランキング」として発表しています。また、「世界で最も持続可能な企業100社」というCSR活動を評価基準に含めた世界ランキングもあります。今回は2つのランキングの概要や評価方法、トップ10企業を紹介し、CSR活動に取り組む際のヒントをお伝えします。

日本国内のCSR企業ランキング

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「CSR企業ランキング」は、CSR活動に注力している国内企業を「CSR企業」とし、東洋経済新報社によってランク付けがなされたものです。同社発行の『週刊東洋経済』や『CSR企業白書』に詳細なデータが掲載されています。この記事ではCSR企業ランキングの大まかな内容を解説します。

東洋経済新報社が主催

「CSR企業ランキング」は、2007年から東洋経済新報社が発表しています。国内企業1,600社以上を対象にCSR活動への取り組み度合いをランク付けしたものです。東洋経済新報社の「財務・企業評価チーム」が、「東洋経済CSR調査」データベースをもとに財務項目とCSR項目の両面から評価し、得点を付けています。

2021年現在、CSR活動を第三者機関が評価するものとしては国内最大規模の調査です。

評価方法の概要

「CSR企業ランキング」で評価に使われているのは、毎年の東洋経済「CSR調査」データと、東洋経済が保有する上場企業財務データの2つです。

「CSR調査」データは「人材活用」「環境」「企業統治」「社会性」の4分野で、それぞれ30~45の評価項目があります。分野ごとに「AAA、AA、A、B、C」の5段階評価の格付けと100点満点の得点付けをおこないます。ただし、企業統治と社会性は合わせて100点満点とするため、「CSR調査」データの合計得点は300点満点です。また、各分野のトップ企業を100点になるよう調整し、それに合わせた得点補正がなされます。

上場企業財務データは「収益性」「安全性」「規模」の3分野、各100点満点で評価されます。財務評価の合計得点も300点満点です。

最終的な総合ポイントは600点満点(CSR300点+財務300点)となります。この総合ポイントをもとに「CSR企業ランキング」が完成します。

2021年の国内ランキングトップ10

2021年の「国内CSR企業ランキング」トップ10は次のとおりです。
※()内は前年の2020年順位。

1位 KDDI(1)
2位 日本電信電話(3)
3位 富士フイルムホールディングス(5)
4位 JT(7)
5位 花王(4)
6位 NTTドコモ(2)
7位 サントリーホールディングス(53)
8位 大和ハウス工業(13)
9位 トヨタ自動車(17)
10位 キリンホールディングス(12)

KDDIが575.7点を獲得し、2年連続で首位でした。前年度トップ10企業のうち6社が上位にとどまっています。

出典元:信頼される「CSR企業」ランキングTOP500社(東洋経済ONLINE)

世界のCSR企業ランキング

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Global 100 Index「世界で最も持続可能な企業100社」

「世界で最も持続可能な企業100社」とは、ダボス会議で発表される「Global 100 Index(Global 100 Most Sustainable Corporations in the World )」です。ダボス会議は毎年1月に開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会のことで、2021年には世界118カ国から各国の指導者や有力な経営者2,800人が集まりました。ここで「Global 100 Index」として評価された100の企業を、カナダのCorporate Knights社が「世界で最も持続可能な企業100社」として発表しています。

世界版のCSR企業ランキングは存在していません(2021年11月現在)。しかし、CSR活動が持続可能な社会を目指して行われる企業活動であることと、「Global 100 Index」の評価項目に環境や人権、労働条件にかかわるものが多数あることから、「Global 100 Index」は実質的に「CSR企業の世界ランキング」と言えるでしょう。

評価方法の概要

「Global 100 Index」は上場企業のみが評価対象となるランキングです。まず、売上や情報開示、財務状況、製品カテゴリーによって4段階のスクリーニング(ふるい分け)をおこないます。そして、スクリーニングをクリアした企業のみをスコアリング(得点付け)します。

スコアリングの評価項目数は24です。うち12項目が全業種共通の必須項目で、残り12項目は業種ごとに比重が変わります。スコアリングを経て、業界ごとにスコアランキングを作成。ベンチマーク指標から算出した業界割当数に基づき、業界ランキングの上位企業から最終ランキングに入れていくという流れです。

2021年の世界ランキングトップ10

2021年の「世界で最も持続可能な企業100社」トップ10は以下のとおりです。

1位 シュナイダーエレクトリック(フランス)
2位 オーステッド(ノルウェー)
3位 ブラジル銀行(ブラジル)
4位 ネステ(フィンランド)
5位 スタンテック(カナダ)
6位 マコーミック(アメリカ合衆国)
7位 ケリング(フランス)
8位 メッツォ・オートテック(フィンランド)
9位 アメリカン・ウォーター・ワークス(アメリカ合衆国)
10位 カナディアン・ナショナル鉄道(カナダ)

日本企業からはエーザイ(16位)、シスメックス(32位)、コニカミノルタ(41位)、積水化学工業(51位)、武田薬品工業(71位)の5社がランクインしています。

引用元:2021 Global 100 ranking(Corporate Knights)

ランキングの評価基準に沿ってCSR活動に取り組もう

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CSR企業ランキングは、ステークホルダー(利害関係者)である顧客や取引先、従業員、あるいは株主が、企業を評価するとき大変参考にされます。CSRランキング上位の企業は社会貢献度だけでなく、持続可能性の高さも示しているためです。

中小企業ではランキング上位に入ることは難しいかもしれません。しかしランキングの評価基準に沿ったCSRの取り組みをすれば、企業価値をより高めることにつながるでしょう。また、国内ランキングと世界ランキングの両方で、財務に関する項目が重視されています。財務状況の改善も、CSR企業を目指すうえで重要な課題であると認識しておく必要があります。

CSR企業ランキングは企業価値を高めるヒント

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CSR企業ランキングは、国内では東洋経済新報社が、世界ではダボス会議の参加者が発表しています。どちらもCSRに関連する多くの評価項目があり、一定の信頼性があるランキングです。CSR活動に取り組んでいく際には、これらのランキングの評価基準が参考になるでしょう。

また、CSR活動によって企業価値が高まり、株価にも好影響を与えるという分析もあります。CSR企業ランキングを読み解けば、企業価値を高める経営手法のヒントが得られるはずです。

NPO法人クロスフィールズは、社会課題の現場と企業で働く人をつなぐさまざまな事業を行っています。具体的な取り組みは公式noteやホームページでご紹介しています。ぜひ参考にしてください。


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