家からできる国際協力って?〜オンラインで現地貢献するには〜
日本からオンラインでベトナムの団体・Tohe(トーヘー)を支援するプロボノプロジェクトが2020年8月末から11月末まで実施されました。これは有志のクロスフィールズスタッフと留職経験者の計4名がチームで行ったものです。フルタイムで働く4名は終業後や休日に活動し、Toheの事業存続につながる様々な施策に取り組みました。
「Toheのために何かしたい」という想いから走り抜けた3ヶ月。なぜオンラインでも現地貢献ができたのか?参加したクロスフィールズ法幸と千足、プロジェクトの総括を担当した西川が振り返りました。
きっかけはベトナムから届いたSOS
西川:プロジェクトのきっかけはToheの代表からコロナ禍の現状を聞いたことでした。このままでは事業が続かないと聞いたとき、何かしたい!と思ったんです。Toheはベトナムで障がいをもつ子どもが描いた絵をデザイン化して雑貨を製造・販売し、そこから生まれた収益を子どもの支援に還元する、という活動をしていました。ところがコロナでメイン顧客の観光客が激減、売上が70%減ってしまったんです。
(Toheが支援する子どもたち[写真左・中央上下]と販売する雑貨[写真右])
西川:販路拡大のため、Toheは日本市場への展開を目指していました。そこでクロスフィールズの法幸と千足、そして留職経験者の2名に呼びかけ、リモートでToheを支援するチームを結成したんです。
実際にチームが取り組んだこと
① 販路開拓:日本市場の調査。代理店契約での販売を目指し、候補の代理店と提携に向けた交渉を実施
② 商品開発サポート:ターゲットとなる顧客層を分析(アンケートを実施含む)。結果を共有し、Toheは日本向けの商品開発に活用
③ クラウドファンディング:事業存続のための資金調達サポート(→クラウドファンディングページはこちら)
本気で取り組むチームの姿を見て、Toheにも変化が起こったといいます。
西川:Toheとは週1回、ミーティングで進捗を共有していました。フルタイムで働きながら成果を出すメンバーに刺激を受け、自分たちももっと頑張ろうと、Toheスタッフのモチベーション向上につながったと感じています。
現地に行かずに、「現場」を理解する方法
法幸:特に難しかったのが一度も会ったことがない相手に心を開いてもらうこと。最初はToheスタッフから意見がほとんど出なかったんです。そこで1ヶ月が経過した頃、思い切って本音で語り合うことを提案したらToheスタッフも積極的に意見を言うようになりました。
(スライドも使い「遠慮せずなんでも話して」と伝えた)
西川:オンラインでの国際協力では余白の時間が大切でした。現地だと食事中などに雑談がはずみますが、時間の限られたオンライン会議だとそうはいきません。だから興味のあることや趣味などプライベートな面を引き出す「雑談タイム」を意識的につくりました。
互いの理解を深めることは、モチベーション向上にもつながりました。
法幸:Toheスタッフと共感しあえたことで、彼らが支援する子どもたちを想像することができました。自分たちは子どもの将来につながるプロジェクトをやっている。そう感じることがエネルギーになったんです。
リモートでも現地貢献できるチームの作り方
顔を合わせないのは日本のメンバーも同じ。メンバー間で温度差が生まれた時期もありました。
千足:ミーティング以外はそれぞれが担当の業務を進めました。すると成果に個人差が出たり、チームと個人の目指すゴールがズレたりしたんです。徐々に「このままだとチームで価値を作っているのではなく、業務分担しているだけなのでは?」という疑問が生まれてきました。そんなときメンバー間で本音をぶつける時間をプロジェクトマネージャーの西川が設定し、そこで温度差が解消できたんです。
西川:あるとき全員に本音を問いかけたら「うまくいかずモヤモヤしていた」など一人ひとりが語ってくれました。そこからToheに貢献するため必要な行動は何か、という議論につながり、チームの足並みが揃ったなと感じてます。
経験者が語る「おすすめしない取り組み方」
千足:おすすめしないのは業務計画に時間をかけ、計画した内容にこだわること。私たちはプロジェクトの中盤で、達成したいゴールに向けてとにかく行動することが大切だと気づきました。そこからは柔軟に方針を切り替え、ミーティングで出たアイデアはすぐ実施したんです。結果、日本への輸出に向けた準備だけでなく、当初は業務計画に含めていなかったクラウドファンディングも実施しました。チームで柔軟に動いたことで、社会課題の現場で奮闘するToheのメンバーに寄り添う活動ができたと思っています。
今回学んだこと、これからの展望
最後にオンラインでの国際協力から学んだことや今後の展望を話しました。
法幸:リーダーとしてメンバーが持つ個性を活かしつつ、まとめることを意識していました。全員が同じことに共感し、共通の目的を持っていれば、離れていても団結し、現地とプロジェクトができると確信しています。
西川:オンラインでも心と心はつながるし、海外の団体と共同で何かを成し遂げることができるんだと実感しました。成功には少しの工夫が必要なだけなんです。その工夫さえすれば、現地に行かずとも国際協力は可能なことを証明できたと思います。
千足:今後はもっとオンラインでの国際協力を広げたいですね。ほかにも困っている海外の団体はたくさんあると思います。社会課題に取り組む海外の団体に貢献したい、何かしたいのに現地へ行けずモヤモヤしている、そんな人たちを巻き込んでいきたいです。
(Toheのスタッフ[写真右下]と、プロジェクトメンバーたち)
プロジェクトではクラウドファンディングも実施。目標を達成し終了しました