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新人研修の目的と手法、を把握。これからの社会に必要なアプローチもをご紹介

新人社員の受け入れは企業が活動を継続するうえで、基本ともいえます。業務内容を伝える、新卒社員にはビジネスのイロハを伝授するなど新人研修はさまざま。どのように進めて行けばよいか、毎年苦慮している人材領域の担当者も多いのではないでしょうか。この記事では基本的な新人研修の内容や教育手法、カリキュラムの違い、これから社会で必要とされるアプローチについても解説します。

新人研修とは

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新人社員とは主に学校を卒業して入社した新卒社員と、転職によって入社する中途社員に分かれます。新人研修の目的と実際の内容について紹介します。

新人研修の目的は業務に慣れるための土台作り

新人研修とは一般的に、新卒社員や新しく入った中途社員を対象とした研修です。業務に関する基礎的な知識を教えるだけでなく、企業内での各自の役割を理解してもらうことを目的としています。新卒社員を対象にした研修であれば、学生から社会人になるにあたって気持ちの切り替えを促す意味もあるでしょう。これから業務をこなしていくための土台作りという側面もあり、企業にとって人材育成の最初の一歩になります。

目的01:企業への理解

新卒社員が入社、または中途社員が転職したとき、何よりも重要になるのが業務全体の把握です。どのような仕組みや方法で日々の業務が行われているのかを理解することが研修の大きな目的になっています。特に企業のビジョンや経営理念は業務のすべてに通じるといっても過言でありません。経営層や上司、先輩社員といった立場の人たちが、新人社員にしっかりと伝えていくことが重要になります。

目的02:社内コミュニケーション

研修中に先輩や上司とふれあう機会を設けてコミュニケーションを深めることも大切です。新卒・中途社員に関わらず、新しい環境に慣れるまでの間はストレスを感じてしまうことも多いでしょう。緊張によってパフォーマンスを発揮できないことを避けるためにも、できるだけ早くストレスを軽減していくことが大切です。そのためには新人研修の期間中に先輩や上司とつながり、話しやすい関係になることが重要です。中途社員であれば、すぐに部下ができる可能性もあり、縦のコミュニケーションも深めることがこれからのパフォーマンスに影響を与えるでしょう。

目的03:実践的な業務体験

新卒社員であれば、ビジネスマナーなども含めてイチから教える必要がありますが、中途社員にはより実践的な研修が求められてきます。中途社員は社会人としての基礎的な能力が身についている前提であるため、ビジネスマナーのような初歩的な研修は割愛し、より実践的な業務体験を用意するなど、新卒社員と中途社員の研修を分けることも大切です。

新人研修で用いられる内容

新人研修で一般的に用意が必要な研修には以下のようなものがあります。

マインドセット研修:マインドセット研修にはセルフマネジメントのような、仕事を進める上で大切にしたい姿勢を学ぶタイプと、企業理念を理解するタイプがあります。前者では仕事に向き合う上で効率的な業務の進め方などを身につけます。後者は企業のマインドセット、つまり企業理念や行動規範、社風に重きを置くことが多いでしょう。
ビジネスマナー研修:その名の通り、ビジネスで必要なマナーを学ぶための研修です。具体的には応接室での座席順や、名刺の渡し方などがあります。昨今はオンラインにおけるビジネスマナーなども必要になってきています。
ロジカルシンキング研修:論理的な思考力を培う研修です。煩雑なコミュニケーションの中でも主張を整理して、解決に導くような考え方を身につけ、因果関係を明確にして筋の通った主張をするスキル獲得などが研修の主な目的になります。
業務ソフト・サービス研修:マイクロソフトOfficeなどのビジネス向けソフトの基礎研修が一般的です。勤怠や経理、稟議など社内で利用するシステムが個別の場合もありますので、それぞれの使い方なども含めて研修で伝えていきます。
職種別研修:エンジニア、事務職、業務職、営業職などの専門職として配置されるのであれば、予め職種別の研修を組み込む必要があります。職種ごとに対応する顧客や取引先などが異なるためそれぞれに必要とされるコミュニケーション方法なども研修プログラムに含まれます。

これから必要な新たな研修

上記のような一般的な新人研修に加えて、昨今重要となってきている研修が、ESGやSDGsの概念や価値観、観点を理解するための研修です。

ESG投資やSDGsが広まるなか、社会的な視点も持った人材を育成する必要性が高まっています。新人研修の時点でESG研修などを取り入れ、ESG投資やSDGsそれらの定義や企業が取り組む必要性、具体的な社会課題やそれに対する自社の取り組みなどについて、理解を深めてもらうことが重要です。

新人研修の一般的な教育手法とカリキュラム

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新卒・中途社員問わず、研修プログラムを考える時に必要とされる教育手法とカリキュラムにはどのようなものがあるでしょうか。形式ごとに一般的な種類について解説します。

教育手法01:グループワーク

新人研修に参加する人がグループ単位に分かれて課題に取り組む「グループワーク」。その種類は課題によって「プレゼンタイプ」と「作業タイプ」に分けられます。

プレゼンタイプは「Aというサービスを広く浸透させるための施策を議論し発表」のように、与えた課題についてグループで議論し、決められた時間のなかで最終的な結論をまとめて発表するものです。作業タイプは「新製品をPRするためのホームページのモックアップを作成」といった課題に対して、グループで協力して取り組むものです。

教育手法02:レクリエーション

新人研修の参加者でゲームなどを行うのが「レクリエーション」です。主にコミュニケーションを図るために用います。ペアを作り相手を紹介する他己紹介や、英語での伝言ゲーム、謎解き脱出ゲームなど、内容は色々と考えることができます。

教育手法03:ケーススタディ

実際に業務で起こりえる事例を元にして、その解決策や対処法を考える教育手法の「ケーススタディ」。アポイントの取り方などの営業方法や、お問い合わせの電話対応など、座学で学んだ内容を実践に落とし込んで学習していきます。ケーススタディは後述の「ロールプレイ」と併せて実施することが一般的です。

教育手法04:ロールプレイ

実際の業務の内容ごとに役割を決めて、各自に割り当てられた役を演じる「ロールプレイ」。お互いの役に与えられた立場を学ぶために行います。配属先が営業職であれば、「取引先」と「営業社員」に分かれて、実際の業務における対応の仕方を学びます。業務についた時に同様のトラブルなどが起こっても、慌てず対応できるようになることがロールプレイの目的です。

カリキュラム01:OJT

実際の業務を通じて教育を行うカリキュラムが「OJT(On the Job Training)」です。座学で一連の流れを理解したうえで、各部署への配属後に実務を通じて具体的なスキルを学びます。OJTのメリットは実践的な業務を身につけられる点です。その一方で、配属先の上司や先輩社員の教えるスキルによる影響が大きく、個々に対するアプローチに差が出やすくなります。

カリキュラム02:Off-JT

「Off-JT(Off the Job Training)」は、職場以外の場所で実施するカリキュラムです。主にセミナーや座学型の研修などがあり、仕事上で必要なスキルを学ぶ目的が多いでしょう。Off-JTのメリットは、研修対象者に対して均一な研修を実施できるため、個々に差が出にくいこと。実際の業務から離れて体系的に学ぶ機会を与えることができます。

新人研修を独自で実施するメリットとデメリット

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新人研修を自社だけで企画・開発して進めている企業も少なくありません。自社だけで新人研修を進める際のメリットとデメリットを確認しましょう。

メリット

自社独自で実施するメリットは、講師役を務める社員が研修を通じて人材育成スキルの向上を図れる点があります。研修を繰り返すうちに組織内部に人材育成のノウハウがストックされ、年々効果的なカリキュラムを実行できるようになります。

また外部に委託するよりも研修のコストが抑えられるという点も挙げられるでしょう。自社独自のプログラムで人材育成を行いたい、コストを抑えたいという場合に有効です。

自社で独自実施するデメリットと解決策

自社で独自実施する時のデメリットは講師となる社員は研修のプロではないため、教え方に個人差がでることです。

新人研修を担当する社員の負担も気になるところ。人手不足のなかで、事業の現場に人事から依頼することがはばかられるケースもあるのではないでしょうか。

これらの課題を解決する方法の1つとして外部委託があげられます。内容はスキルトレーニングから異なる組織に越境しマインドセットやリーダーシップを育む研修などさまざまです。研修目的に合わせて外部委託も行うことで、効果的な新人研修を実施できるのではないでしょうか。

企業に求められる新人研修に欠かせない観点を理解しよう

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新人研修の目的には、社会人の基礎となる教育的な側面と企業・事業・業務内容を理解し、企業の一員として事業に貢献できる社員育成の側面の2つがあります。研修の手法はグループワーク、レクリエーション、ケーススタディなど様々ですが、まずは研修目的を明確にしたうえで手法を選択することが重要です。

新人研修の目的が明確になれば、フォローアップ研修とも連動性が高くなり、一貫性のある研修の進行が可能になります。また、これからの時代はESG経営や企業のサステナビリティ等の理解を深めるプログラムも大切になってくるでしょう。

研修に投下できる時間、コスト、人員を鑑みて自社での独自実施か外部委託か選択することも大切です。研修目的に応じてそれぞれ検討してみると良いでしょう。

NPO法人クロスフィールズは、社会課題の現場と企業で働く人をつなげる様々な事業を展開しています。具体的な取り組みは公式noteやホームページでご紹介しています。ぜひ参考にしてください。