ラオス農村部に明かりを灯すー留職で描いた「人々の生活を豊かにするモノづくり」
現在、日立製作所のデジタルソリューション事業統括本部で活躍する菊池さんは、2013年に1.5ヶ月にわたりラオスへ留職。無電化地域に太陽光を活用した製品を提供する団体で活動しました。
留職を通じて「エンジニアを目指した頃の想いが呼び起こされた」と言う菊池さん。現地の人々との協働や自ら仕事を生み出していく経験を通じて、仕事への向き合い方に変化が生まれたと振り返ります。
ラオス農村部の生活向上に取り組む
菊池さんは「異なる環境で、課題の発見から解決まで挑戦してみたい。そして、限られた期間とリソースのなかで成果を出したい」という想いから2013年に留職への参加を決意しました。
派遣先はラオス・農村部で活動する社会的企業・Sunlabob(サンラボ)です。無電化地域を対象に、太陽光を活用した製品を提供しています。
ラオスの農村部では公共のインフラ網が不十分で、電力や水道サービスを享受できない地域がありました。サンラボはそんな無電化地域に太陽光を使ったランタンや水汲みポンプなどを提供することで、地域の生活向上を目指していました。
1.5ヶ月の留職期間で菊池さんが任されたのは、サンラボの全製品に共通する「蓄電池ケースの改善」でした。当時の蓄電池ケースは、強度不足による破損や堅牢性が低いことによる蓄電池の盗難が多く発生しており、団体では大きな課題となっていました。そこで菊池さんは現状の蓄電池ケースを分析して課題を洗い出し、改善版の設計・試作などに取り組みました。
村の人々の生活を支えるランタン
現地活動を開始してすぐ、菊池さんは自身の活動の「軸」となる言葉をサンラボの代表にかけられたと言います。
現地だからこそできることをしよう、と菊池さんはサンラボの製品を使用する農村部の住民を訪ね歩き、彼らの声を聞いて行きました。
現地でのヒアリングを経て、サンラボの製品が人々の生活向上につながっていることをと実感した菊池さん。蓄電池ケースの改良へ、さらに身が入りました。
現地の考えを尊重し、一緒にベストな方法を見つける
改良に取り組むなか、理論どおりに行かないこともあったといいます。それでも菊池さんはサンラボの製品開発プロセスを学んだり、担当者から現状の設計方法をヒアリングしたりして、彼らにとって本当に必要なものを探っていきました。
技術の担当者だけでなく、様々な部門のスタッフと会話を重ねるなかで相手との信頼関係を築いていった菊池さん。最終的には改善版の蓄電池ケースを完成させただけでなく、必要な部品の調達サポートなども行うようになりました。
サンラボの代表は菊池さんの活動をこう振り返ります。
留職で学んだ2つの視点
1.5ヶ月の留職で、菊池さんは「ユーザー視点で未来を描く大切さ」「自ら仕事を作っていく楽しさ」を発見したといいます。
留職では自分で考えて行動し、仕事を作っていくことの楽しさも体感したといいます。