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八木洋介氏と考えた「オーセンティックリーダーシップ」

2021年10月1日、いま注目の「オーセンティックリーダーシップ」をテーマとしたオンラインセミナーを開催しました。ゲストに『戦略人事のビジョン』著者の八木洋介氏をお迎えし、クロスフィールズ小沼とテーマについて語りました。

リーダーシップの「3つのシフト」

最初にクロスフィールズ小沼が10年にわたり企業の人材育成に携わってきた視点から、企業のリーダー育成の現場で起こっている「求められるリーダー像の3つのSHIFT」についてお話しました。

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小沼大地:青年海外協力隊、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て2011年クロスフィールズ創業。代表理事を務める

小沼:コロナ禍は社会が「将来は予測不可能である」という認識を強めるきっかけになりました。そんな時代に求められるリーダー像は変化しており、主に3つの特徴があると感じています。

1つがスキル型から信念型へのシフトです。先が読めない状況においてもリーダーは決断を迫られます。このときリーダーは自分の信念に従って決断する必要があるのです。2つ目がリーダー像の変化です。これまではメンバーを引っ張る「強い」リーダーが理想でした。しかし今はリーダーが自分の悩みなど「弱い」部分を見せ、メンバーが相談しやすい環境を作れるリーダー像が理想になったと考えています。3つ目が社会的視点を備えること。企業と同じくリーダーは事業において利益だけでなく、社会的価値も生み出すことが求められています。そのためには社会的な視点を備えている必要があるでしょう。 

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続いて八木氏から経営の変化とオーセンティックリーダーシップについて伺いました。(以下、敬称略)

経営のパラダイム・シフト

八木:小沼さんが話したように、これまでの企業活動は「将来は見通せる」ことが前提でした。これが大きく覆ったいま、組織も前提を大きく変えないと生き延びることはできません。そもそも従来の組織は管理型マネジメントが基本でした。例えば終身雇用やメンバーシップ型をはじめとする制度、計画を重視する姿勢などです。

しかし常に状況が変化するいま、「管理」だけでは対応できません。では組織があるべき姿は何か?カギは「任せる経営」だと考えています。組織は管理するのではなく、メンバーに任せるのです。ここで大事なのがオーセンティックリーダーシップをもつ人材なんです。

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八木洋介氏:日本鋼管、GE、LIXILグループ執行役副社長などを経て2017年に㈱ people first創業、代表取締役を務める。著書に『戦略人事のビジョン』がある

オーセンティックリーダーシップと「勝てるチーム」の作り方

一般的にオーセンティックリーダーシップは「本物の・誠実な」リーダーの姿だと言われています。私はこれを「自分の個性に根ざしたリーダーシップ」だと捉えています。この自分の個性を考えるにあたり、志と軸が重要なんです。志とは自分の人生や仕事の目的、軸は判断や行動の基準とも言えるでしょう。

さてあなたは自分の志を語れますか?本物の自分らしさとは「自分が納得している自分らしさ」です。自らをリードできなければ、他人を導くことはできません。

そしてこの志を実現するときに大切なのが自分の軸です。先が読めない状況や知識がない分野で迷ったり判断を迫られたりしたとき、軸は決断を後押ししてくれます。そしてこの軸がある人に自然とメンバーが集まります。こうして志と軸が揃ったリーダーが「勝てるチーム」を導けるのです。 

私の考える「勝てるチーム」とは、共通目的の実現に向けてメンバー全員が協働し、成果を出せる組織です。共通目的を生み出すには、リーダーが何を目指すのかを語り、メンバーに納得してもらう必要があります。そのうえでリーダーがメンバーそれぞれの自分らしさを受け入れ、仕事を任せる必要があります。細かい管理をするのではなく、大局観を持って見守るのです。

こうして生まれるチームは共通の目的に向けて一人ひとりがパフォーマンスを発揮できます。その結果として予測不能な状況にも柔軟に適応し、新たな価値を生み出せるのです。

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続く時間では八木氏と小沼によるクロストークを展開しました。

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テーマ1:「自分らしく」なってもらう方法とは?

小沼:相手にも「自分らしい」姿を体現してもらい、共通の目的を見つけるにはどういったアプローチがいいと考えますか?

八木:相手がどんな立場だろうと、言語化と対話が大事です。まず相手の実現したいことに耳を傾けてみましょう。こうしなさいと指示するのではなく、本人が考えて自分の志を導き出すことが大事です。本人が志を言語化できたら対話する。互いの志を知り、共通の目的を見つけていくのです。

小沼:たしかに対話は大事ですよね。僕自身、企業の方々がプログラム中に内省と対話を通じて自分の志を見つけていく姿を目にしてきました。 

テーマ2: ビジネスと社会性の関係

八木:逆に私から質問です。小沼さんから見て、企業はどれほど社会性に目覚めていると感じていますか?

小沼:世代と役職で異なりますね。ミレニアル世代と経営層は関心が高いと思います。前者は将来性への危機感から社会課題への関心が高い。後者はESG投資やSDGsなど社会的な潮流から関心が高まっていると感じています。一方でまだまだ変わっていないのが中間管理職だと感じます。日々の業務に追われ、社会変化に無自覚となってしまっている人はまだ多い印象です。

八木:なるほど。たしかにビジネスと社会性の関係は変化していますよね。誰もが環境問題を体感し、将来が不安定だと認識している社会において、企業が利益と社会価値どちらも生み出す必要が高まっていると感じています。

Q&A:リーダーとマネージャーの違いとは?

セミナーでは参加者からは多くの質問をいただきました。その中から1つご紹介します。

小沼:リーダーとマネージャーの違いに関する質問が来ています。八木さんはどう区別していますか?

八木:まず、マネージャーは役割だと考えています。言われたことをちゃんとやり、知識で意思決定する。ただし今はこのマネジメント機能に加え、マネージャーも自分らしいリーダーシップの発揮が求められています。一方でリーダーは言われたことではなく、「自分のやりたいこと」を実行する人。強い意思と決断の軸をもち、新しいものを創造するのです。これからの組織では誰もがリーダーの必要があります。そのためにメンバーが「これをやりたい」と言える組織風土を作ることが大事となってきます。

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セミナーではたくさんの質問が寄せられ、あっという間の90分となりました。クロスフィールズは今後も無料セミナーを企画・開催します。次回は11/26に「エンゲージメント」がテーマのセミナーを予定しています。ゲストはユニリーバ島田友香さんとPwC合同会社の沖依子さんです。詳細が決まり次第お知らせしますので、どうぞお楽しみに!

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