コーチングを仕事で活かすには?コーチングの基本や学び方などを解説
人材育成として多くの企業が注目しているコーチング。コーチングのスキルを身につけて、メンバーとのコミュニケーションや人材育成などで活かしたいと考える人が増えています。
ただ、コーチングをどのようにして学べばいいかわからない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、コーチングの基本になるスキルや学び方、コーチングのメリットについても解説しますのでぜひ参考にしてください。
コーチングとは
コーチングとは、相手の話に耳を傾け質問を投げかけつつ観察し、提案などを通じて相手の能力や可能性を引き出す手法のことです。相手の能力や可能性を最大限に引き出したり、自主性を促したりすることは、モチベーションを高めることにもつながります。コーチングは企業の人材育成にも活用されており、「コーチング型マネジメント」とも呼ばれています。コーチングはどんな組織でも活用できる技術といえるでしょう。
目標達成に向けて、対話を重ねながら相手の能力を発揮できるように導き、自己成長を促すことがコーチングの特徴。最終的には社員一人ひとりの成長を促し、自発的な行動変容を導くのがコーチングの目的です。
■コーチング・ティーチング・コンサルティングの違い
ここでは、コーチング・ティーチング・コンサルティングの違いについて簡単に解説します。
コーチングとコンサルティングは相手の自主的な行動を促す点が共通していますが、アプローチが異なります。
コンサルティングの場合は以下のような流れです。
1. 相手へのヒアリング情報をもとに、目標達成のための戦略を考える。
2. 行動プランを考え、その答えをクライアントに提示する。
一方、コーチングの場合は以下のような流れです。
1. 対話を通じて、相手(クライアント)が目標達成するため取るべき行動を、相手に自ら考えてもらう。
2. 相手が自分自身で答えを見つけられるよう、実際の行動を促す。
ティーチングは指示やアドバイスを与え、その通りに行動させることを意味するため、「答えを与える」という部分がコーチングと根本的に異なります。
コーチングの基本3つ
コーチングの基本は「傾聴」「質問」「承認」の3つです。それぞれ以下で簡単に解説します。
■傾聴
傾聴とは対象者の話に関心を持ち、徹底的に聞くことです。ただ耳を傾けるだけでなく、注意深く聴きながら話に応じたあいづちや反応を返して相手の言葉を引き出します。
コーチ(コーチングをする人)の傾聴力は信頼関係を築く上で大きく影響します。心を開いて話してもらうことで、相手の本来の能力や目標が見えてきますので、重要なスキルと言えるでしょう。
■質問
コーチの質問によって、相手は大きな気付きを得たり、一歩先を考えて行動できたりします。
質問の際は、回答が「はい」か「いいえ」に限られる「クローズドクエスチョン」ではなく、自由な回答が期待できる「オープンクエスチョン」を意識しましょう。
たとえば、社員に「問題があると思いますか?」と聞くと回答が「はい」「いいえ」になります。そうではなく「どのような問題があると思いますか?」と尋ねることで、相手が考えて答えを出すのがオープンクエスチョンです。このようなオープンクエスチョンを活用し、相手が自ら考えるサポートをしていくことがコーチの役割のひとつです。
■承認
相手が課題や目標を明確にし、行動を起こしたとき、コーチが相手を認めることも大切です。その際、具体的に良かった点を伝えることがポイント。承認欲求を満たすことで相手のモチベーション維持や、さらにパフォーマンスを良くするためのヒントの発見などにつながります。
「傾聴」「質問」「承認」については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
コーチングを学ぶには
コーチングを学ぶための方法や条件はあるのでしょうか。今回は講座の受講、書籍の活用、実際にコーチングを受けるという3つの方法を紹介します。
■スクールや講座などで学ぶ
スクールや講座を受講すると、コーチングの基礎知識や基本スキルを体系的に学ぶことができます。実践と振り返りを繰り返しながらレベルアップできるのがメリットです。受講費用と時間が必要ですが、スクールや講座で学ぶと資格を取得できます。実践による経験も積めますので、本格的にコーチングを学びたい場合は検討してみてください。
■書籍で学ぶ
独学になりますが、書籍は自分のレベルや目的に合わせて必要な学びを得られます。時間や場所に関わらず読み返せる、安価で学べる、などがメリットです。
自分のペースで学べる反面、読むだけで終わってしまう可能性があります。書籍を読んだら社内で実践するなど、アウトプットの場を設けましょう。
■実績のある人のコーチングを受ける
コーチングを早く習得できるのがこの方法です。実績を出している人からは実践的な考え方やスキルを学べますし、体験談なども聞けるのがメリットです。ただし、コーチングを受けるのはコストがかかったり、継続的に受ける必要があったりするなど、経済的・時間的なコストが必要となります。
ビジネスシーンにおけるコーチングのメリット
ここではビジネスシーンにておいて、上司が部下にコーチングを行ったときに期待できる3つのメリットをご紹介します。潜在能力を引き出せる、自発的な行動につながる、問題解決能力の向上、の3つがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
■潜在能力を引き出せる
コーチングでは相手との対話が重要です。対話をしてコミュニケーションが深くなるほど、その人の新たな能力や可能性を引き出すことにつながります。対話で部下の考えや望みを知り、潜在能力を引き出すことができれば、その能力を生かす方法を見い出せるでしょう。
■自発的な行動ができるようになる
コーチングでは常に相手の考えを引き出すことを重視しています。そのためコーチングを続けていくと、部下は自ら答えを導き出そうとする姿勢が自然と身についてくるのです。部下が自分の内側にある問題を意識できれば、それを改善する方法を考えるなど自発的な行動につながるでしょう。
■問題解決能力の向上
コーチングによって、相手は問題解決方法や目標達成へのプロセスを深く考えるようになります。今の自分に必要な課題を取捨選択し、目標達成に向けて行動できるようになるでしょう。その結果、部下がすぐに周りに指示を仰いだり、思いつきで行動したりすることも減るはずです。自発的に問題を解決していく経験を積むことで、部下のモチベーションも高く維持されるでしょう。
まとめ
コーチングを仕事で活かすための基本的なスキルや学び方、メリットについて解説しました。コーチングは社員のモチベーションを上げたり、目標達成したりとさまざまなビジネスシーンで有効です。コーチングは経験がなくてもスクールや講座、実績のある人を通じて学ぶことができます。コーチングを体得して、ぜひ仕事で活用してみてはいかがでしょうか?
NPO法人クロスフィールズは、社会課題の現場と企業で働く人をつなぐさまざまな事業を行っています。「留職」プログラムではコーチングの考え方を取り入れるなど、プログラム参加者の成長をサポートする事業を多く展開しています。具体的な取り組みは公式noteやホームページでご紹介しています。ぜひ参考にしてください。