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留職先で社長の右腕に!ウガンダの社会課題と向き合い見つけたリーダーシップと志

損保ジャパンの明石さんは、RICCI EVERYDAY(以下、RICCI)に留職しました。RICCIは、ウガンダ等の⼥性や元子ども兵など社会的に疎外された女性たちが作るライフスタイル商品を日本で販売しています。明石さんはWebマーケティングの領域の最高執行責任者(COO)を担当。ウガンダ渡航などを通じて新たな価値観に出会った留職の9ヶ月間を振り返り、自身の変化や成長について語ってもらいました!

異なる環境にCOOとして加入。目まぐるしい日々が待っていた

――留職に参加したきっかけを教えてください。
これまで貨物保険の支払いやクレーム対応などを担当してきましたが、今後のキャリアを考えるなかで「海外事業に携わりたい」と考えるようになり、社内の研修プログラム・Sompo Global Universityに応募したことがきっかけです。その一環として留職が組み込まれており、面接を経てRICCIへの留職が決まりました。 
 
RICCIは代表の仲本千津さんがお母さまとともに2015年に創業し、ウガンダの工房ではおよそ20名が働いています。代表の千津さんは私と同年代だったので、同い年の人が起業していることを新鮮に感じましたし、社会課題を起点に行動し続けている姿は素直に「すごい」と思いました。

代表・千津さん(写真・左)とディスカッションを重ねる明石さん(写真・右)

留職当初に「COO(最高執行責任者)として、RICCIを引っ張っていってほしい」と言っていただき、オンラインストア事業全般を担当しました。

具体的にはオンラインストアの収益/生産性向上の施策やチームビルディング、商品の到着から検品、売上管理、SNSなどのwebマーケティングなどに携わりました。ただ、オンラインマーケティングは未知の領域で、「どんな施策を行えば、バッグを買ってもらえるか?」「どんな文章や写真がいいか?」など考えながら試行錯誤しました。これが最初は本当に辛かった……。写真撮影や文章作成を仕事として行うのは初めてだったし、その結果を数値として分析する必要がある。学びながら実践を繰り返していきました。

加えて統括として他の業務も見なければいけなかったり、ウガンダからの納品がスケジュール通りにいかなかったりと、本当に日々めまぐるしかったです。
 
これまでもチームリーダーは経験してきましたが、その時は業務内容やメンバーを知っている環境でのこと。留職では全く知らない分野で様々な業務を覚えながら、メンバーに仕事を割り振っていく必要がありました。その際、メンバー一人ひとりをもっと知り、彼らの意思も尊重して、強みを活かしてもらいたいという気持ちから、全員と1on1のミーティングを行いました。

ウガンダ渡航で目の当たりにした社会課題

留職が開始して4ヶ月が経ったころ、ウガンダへ2週間ほど訪問する機会をいただきました。これまで現地スタッフと話す機会がなかったので、工房で一緒に検品作業などを行いながら、対面でコミュニケーションを取ることができました。

ウガンダの現地スタッフと(本人・写真左)

また、日本の顧客アンケートを英訳し、色紙にしてスタッフに手渡すことも行いました。これを実施した理由は、現地スタッフに日本の顧客からの感謝の言葉や製品への反応を伝えることで、自分の仕事に誇りを感じてもらいたかったからです。また、私から彼らへのリスペクトも伝えたい、という気持ちもありました。
 
渡す際に内容を読み上げていったのですが、まっすぐな眼差しで話を聞く彼女達がとても印象的でした。日本ではウガンダが「遠い」と感じていたのですが、現地でスタッフとコミュニケーションを取るなかで、心理的な距離を縮めることができたと思います。
 
RICCIとは直接的な関係がありませんでしたが、現地訪問で難民居住地域に行く機会もありました。RICCIの工房がある首都・カンパラから車で12時間ほどの北部エリアに2泊し、現地で活動する日本の国際NGOの方に引率してもらいながら、女性の職業訓練センターや市場の様子など難民の方々の暮らしを見学させていただきました。水道がなく最低限の風雨をしのげるような家に住み、今までの生活を失ってもなおたくましく生き抜く彼らの姿に尊敬の念すら覚えました。

難民キャンプ内の市場の様子

危機を乗り越え見つけた「私らしいCOOのあり方」

ウガンダから帰国すると、怒涛の日々が待っていました。Webマーケティングの分析や検品、商品撮影など業務に追われて予定通りに行かない。満足な販売戦略を作成できず、私の提案に対して代表から厳しいフィードバックをもらい落ち込むことも……。自分だけでなく周りのメンバーも回っておらず、どうにかこの状況を打破しないと、という焦りがありました。
 
このままではチーム全体が壊れてしまうと危機感を覚えたので、自分の業務の進め方とチーム全体の業務効率化を図りました。具体的には検品などのオペレーションのルールを仕組み化したり、情報共有を徹底して打ち合わせ時間を削減したり。結果、メンバーの業務配分を再構築し、私自身もより販売戦略に力を入れることができ、組織全体のリソース配分を行うことができました。
 
「これが私流のCOOだ」と感じられたのがこの時でした。私流のCOOとは、「最高の裏方であり戦略家」です。最高の裏方とは、まさに業務改善などを通じて最適な組織のリソース配分をし、事業推進に寄与できること。戦略家とは組織全体のPDCAサイクルをつくり、成果を上げていく存在です。

例えば「単なる商品紹介ではなく、RICCIの大切にしている価値観をもっと発信する」という販売戦略を考えました。この想いをチームメンバーに伝えたところ共感してもらい、SNSやオンラインストアではウガンダの女性たちのストーリーなどRICCIの世界観を伝えていきました。

自身もモデルとして商品を紹介

留職で体現したリーダーシップと得た自信

――留職を通じて、ご自身のリーダーシップはどのように変化しましたか?
RICCIのスタッフは大学生のインターンやパートタイムで働く人が多かったのですが、年齢や役割に関係なく誰もがリーダーとして活躍してもらいたいと思っていました。そのため、なるべく各メンバーの得意分野を活かしたり、さらに成長してもらえそうなアサインを行ったりしました。損保ジャパンで以前に自分が所属していたチームは「みんながリーダー」という合言葉でメンバーが行動し、とても良い雰囲気だったので、RICCIでもこんなチームをつくりたいと思っていました。 
 
みんなが自分の考えを発信できる雰囲気づくりも意識し、ミーティングでは業務だけではなくちょっとした雑談も入れるなど、意見を言いやすい空気を生み出すようにしました。また、活動中盤からは「自分はこんな失敗をした。次からこうしたら防げると思っているけど、他に方法はあるかな?」と失敗の共有と次回に向けた改善を一緒に考えてもらうようになりました。失敗を自分だけの経験にせず、必ずすぐに共有してみんなで対策を考えることで、チームとして前進できると思ったのです。
 
留職ではうまくいかなかったり、落ち込んだりすることもありましたが、クロスフィールズさんとの1on1や週次の振り返りを通じて内省し、言語化するクセができました。きちんと自分と向き合い、乗り越えて次に進む。これを繰り返していくうちに、「また難しいことがあっても、きっと乗り越えられる」という自信につながっていきました。留職前はただ落ち込んで終わりだったので、これは大きな変化です。実際、留職後の配属が未経験の領域だったのですが、「全く知らない環境でも自分らしく働き、成果を出せる」という気持ちで前向きに働く事が出来ています。

RICCIのメンバーと(本人・写真中央)手にするバックの柄は自身が名付けたもの

社会課題を解決する事業を生み出したい

――今後、どのようなことに挑戦したいですか?
いま取り組みたいと考えていることは2つです。1つが「最高で最幸な組織をつくる」ことです。留職で社外に出て、改めて自分は入社以来ずっと色んな人に助けてもらってきたと実感しました。今後は自分の経験も活かしつつ、メンバーを巻き込んでみんなが生き生きと働き、活躍できる組織をつくりたいです。
 
そしてもう1つが、社会課題を解決する事業をつくることです。留職先のRICCIはビジネスを通じて社会課題解決に取り組んでおり、それを体感できた9ヶ月間でした。ウガンダでは大気汚染や貧困などの社会課題を肌で感じたこともあり、「残りの人生をかけて社会課題の解決に携わりたい。社会貢献をベースに仕事をしていきたい」という気持ちが生まれました。
 
さらに、同年代で起業したRICCIの代表・千津さんからは「こんなふうに行動したら形をつくっていける」という刺激をもらいました。昨今は大企業が率先して社会課題解決する流れが生まれているので、自組織でできることを考えて行動をしていきたいです。
 
――最後に、留職を薦めたい人を教えてください。
誰が参加してもすごくいい経験になると思います。越境自体に価値があるので、人生に1度はみんな経験すべきです!ただ、強いてあげるなら「ずっと同じ組織で働き続けている人」ですね。一度外に出て新たな価値観に触れ、視野を広げるチャンスになると思います。

RICCI EVERYDAY・仲本さんからのメッセージ

明石さんの留職について、派遣先・RICCI EVERYDAY代表の仲本さんから以下のメッセージをいただいています。

RICCI代表・仲本さん(写真・左)と明石さん(写真・中央)

私は社会事業を実践するものとして、ともすればビジョンの実現に邁進しすぎて、チームやオペレーションのことを疎かにしがちな部分があり、経営者として未熟だと常に感じていました。

そんな時、明石さんが留職者として弊社にジョインし、「人」にフォーカスした組織・事業づくりを実践し、日本・ウガンダのチームをまとめ上げて彼女たち一人ひとりが実力を120%発揮できる環境を作り出してくれました。これにより、さまざまなバックグラウンドを持つスタッフたちが、自信を持って発言してくれたり、タスクに真摯に取り組んでくれたり、ポジティブな変化がたくさん生まれました。

「最高で最幸な組織をつくる」という明石さんのモットーを私も受け継ぎながら、RICCIを最高で最幸な組織にしていきたいと思います。(RICCI EVERYDAY・仲本千津)

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留職プログラムについては以下よりご覧ください。