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ESG投資とは? 投資家が注目するポイントから重要性を理解しよう

ESG投資には、日本はもちろん、世界でも注目が集まっています。なぜ今、ESGを会社経営に組み込む必要があるのでしょうか。

その答えはESG投資において投資家がどのような視点で投資を行うのかを知ることからはじまります。また投資家の視点でメリットとデメリットを理解することで、ESG経営が会社に与える影響や必要となってくるESG経営を戦略するためのポイントも見えてくるはずです。

簡単に理解しよう! ESG投資の概要

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投資家が注目をするESG投資を知る前に、まずはそもそもESGがどのようなものなのかを解説します。投資にESGが求められるようになった背景も解説しましょう。

■そもそもESGとは

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られたESG。従来の財務状況だけに頼った投資では企業における未来の価値が見通せない世の中になってきたことから、投資家が非財務状況であるESGに注目して広がりました。環境、社会、ガバナンスはそれぞれ以下のような観点が求められます。

環境:廃水による水質汚染の改善やCO2排出量の削減、マイクロプラスチックなどの環境問題に対する対策など。再生可能エネルギーの使用や生物多様性の確保なども観点とされています。

社会:適正な労働条件や男女平等、多様性に配慮した職場を構築する人権対策が施されているかがポイント。ワーク・ライフ・バランス、児童労働問題、地域社会への貢献などの観点が含まれます。

ガバナンス:企業の業績を悪化させるような不祥事を回避したり、リスク管理のための情報開示や法令順守などを行ったりしているかが観点になります。

■ESG投資が求められる社会背景

ESGが持つ3つの観点に対する取り組みがなされてない企業は今後投資家から投資を受けにくい状況なることが予想されます。そのためESGの取り組みは単なる経営上のコストではなく、企業が優位的に競争を進めるための戦略であることが、経済産業省のレポートにおいても指摘されています。

従来、事業の業績や財務状況などが企業価値を測る方法でした。しかし、世界経済フォーラムにおいてこれまで非財務情報であったESGの採点手法が発表され、ESG投資を進めるためのESGスコアが重要視されるようになったこともESG投資が求められる背景にあるといえるでしょう。

投資家目線で考えるESG投資のメリット

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投資家がESG経営に対して投資をするうえでどのようなメリットを感じているのか、投資家視点でメリットを紹介します。

■長期の資産形成に最適

革新性が高く急成長の企業への投資は短期的に大きなリターンが見込めますが、リスクも大きくなるのが課題。ESG投資は短期的なリターンは大きくありませんが、長期で安定的なリターンを目指す投資が可能です。

経済や自然環境の変化、労働・人権の価値観の変化、消費者ニーズの変容など企業にとっては大きなリスクになりますが、ESG経営に取り組む企業はこのようなリスクの対応力があると投資家は期待しています。

■運用パフォーマンスを長期間期待できる

投資対象となるESG経営の企業の資産価値は長期的に変動しにくいのが特徴です。

そのため、投資家は長期的な運用パフォーマンスを期待し、一時的な要因による市場経済や企業業績の悪化でも投資を続けるように考えます。

社会貢献に直結

ESG経営は社会貢献に直結する経営です。ESG経営の企業は環境や人権、労働などの課題の解決に取り組む企業のため、ESG投資自体がその企業を通じて社会的課題解決を後押しすることになります。

環境に配慮した事業における資金調達手段として発行される社債はグリーンボンドと呼ばれ、その社債や投資信託などを購入することが環境保全の行動にもつながります。

投資家目線で考えるESG投資のデメリット

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投資家がESG経営に対して投資をするうえでどのようなことをマイナス面と捉えているのか、投資家視点でデメリットを紹介します。

■短期のリターンが小さくなりやすい

短期的なリターンを考える投資家にとってはESG投資はデメリットとなります。

通常、投資は効率性が重視されることが多いため、ESGスコアなど従来にはない情報に配慮する必要がある点は投資家の目線で考えれば手間がかかると感じるポイントでしょう。

■投資先の選定が手間

投資家は財務情報などの情報を得たうえで、ESGに必要な要素も見極めて投資判断を行う必要があります。数多くの資料を探して分析するなど、ESG投資は準備や作業に多くの手間がかかることもあるでしょう。

一方で、企業側にとっては地に足の付いた投資を促しやすくなる点がメリットともいえます。

■グリーン・ウォッシュの存在も

ESG経営の企業に対して、投資家は「この企業はグリーン・ウォッシュではないか?」という懸念を持つ場合があります。グリーン・ウォッシュとはESG経営に取り組んでいる企業であるかのようにみせること。

このような疑いを持たれないためにも、本業において企業を成長させるエンジンとなるような実質的なESG経営が求められます。

投資家が考えるESG投資の7つのポイント

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ESG経営に対して、投資家がどのような視点で投資を行おうとしているのかを知ることで、ESG経営で押さえておきたいポイントを理解しましょう。

01:ネガティブ・スクリーニング

ESGの定義に沿わない、特定の業界を投資対象から除外する方法です。主に「罪ある株式」と呼ばれる業種が除外されます。

具体的な除外対象業界としては、たばこ、アルコール製品、ポルノ、ギャンブル、動物実験、化石燃料、原子力発電などが挙げられます。

02:国際規範スクリーニング

国際労働機関や経済協力開発機構が定めている、国際的に求められる規範の最低基準に達していない企業を投資対象から外す手法です。

特に環境問題や人権侵害に関するルールを重要視しており、主に北欧の機関投資家によって取り入れられていることで知られています。

03:ポジティブ・スクリーニング

マイナス要素があるものを除外する「ネガティブ・スクリーニング」の対をなす手法です。

環境や人権、多様性などのESGが定義する観点において優れた企業を投資対象として選びます。

04:サステナビリティ・テーマ投資

サステナビリティをテーマとした投資は、ESG投資が浸透するとともに注目を集めています。

エコファンドや水ファンド、再生可能エネルギー投資ファンドなど、持続可能性がテーマとなる投資手法です。

05:インパクト・コミュニティ投資

環境や、社会全体に貢献するサービスによって、社会的・環境的なインパクトが強いプロジェクトに対して行う投資手法です。

投資対象として非上場企業が多く含まれ、単純な企業単位ではなくプロジェクト単位での投資も行われるため、中小企業でも関連性が高い投資といわれています。

06:ESGインテグレーション

ESGにおける環境、社会、ガバナンスという3つの非財務情報で投資の判断に含める手法です。

ESGを強く意識した投資手法で、ESG投資項目となる非財務情報のどの部分を重視するかは投資家ごとに判断が分かれるため、さまざまなスタイルの投資が行われます。

07:議決権行使

株主として企業のESG経営に積極的に働きかける手法です。

単なる投資では無く、経営者側の立場でESGを推進するため企業としてはより密接な関係を構築できるところが相違点になります。

ESG投資を理解して企業価値を高める努力を

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2015年のパリ協定以降、脱炭素社会や持続可能な社会の実現に向けた動きが加速しています。

金融業界においても、ESG要素を考慮した投融資がスタンダードになりつつあることから、環境省においても環境・社会事業でESGを推進し、貢献している企業・投資家などを表彰する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」を2019年度よりスタート。投資家に向けても積極的に働きかけて、後押ししています。

投資家によりよい投資を行って貰うためにも、ESG経営は重要な意味を持ちます。ESGによって企業価値を高めることが今後の経営戦略には不可欠でしょう。

NPO法人クロスフィールズは、社会課題の現場と企業で働く人をつなぐさまざまな事業を行っています。具体的な取り組みは公式noteやホームページでご紹介しています。ぜひ参考にしてください。


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