コーチング理論5選!知っておきたい違いと特徴を解説
コミュニケーションスキルの向上だけではなく、マネジメント手法としても注目を集めているコーチングには、さまざまな理論が存在します。理論によって特徴が異なるので、シーンに応じて使い分けることが大切です。
今回は知っておきたいコーチング理論を5つご紹介します。コーチング理論の実践方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
コーチングとは
コーチングとはコーチが対象者の能力や可能性を引き出しながら、対象者の目標達成に向けてのモチベーションを高めるコミュニケーション手法です。自発性を重視するため行動は強制されません。
双方向コミュニケーションを主体とするカウンセリングと同じようにも思えますが、カウンセリングの目的は、あくまでも悩みや不安の解消です。
一方、コーチングは目標を達成するための自己成長を促します。
なお、コーチングと混同されやすいティーチングの場合は、双方に上下関係が生じます。コーチングはコーチと対象者が並走する関係となり、対話によって未来につながる答えを導き出すのが特徴です。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
コーチング理論5選
ここからは、主なコーチング理論を5つご紹介していきます。
・コーアクティブ・コーチング
・NLPコーチング
・ポジティブ心理学コーチング
・行動コーチング
・オントロジカル・コーチング
それぞれ詳しく見ていきましょう。
■コーアクティブ・コーチング
コーアクティブは「協働的」という意味の言葉で、コーチと対象者が対等な協働関係にあることを指しています。
なお、コーアクティブ・コーチングでは、次の4つを信念としてコーチングを行います。
・人は生まれながらにして創造的でリソースに富み、欠けるところがない
・本質的な変化を呼び起こす
・今この瞬間から創る
・その人のすべてに焦点をあてる
コーチングの対象者がどのような状態にあっても、その力を信じて向き合うのがコーアクティブ・コーチングです。
自分自身に向き合いながら感情を浮き彫りにするコーチングなので、職場でストレスが溜まっている人や人間関係に悩んでいる人などに適しています。
■NLPコーチング
NLPとは、Neuro-Linguistic Programming(神経言語プログラミング)という心理学的なアプローチです。コーチング対象者の無意識下にある語感や感情を徹底して理解していくため、言語的に理解していない領域にもアプローチでき、深層心理に変化を起こす効果があるとされています。
NLPはその実用度の高さから、ビジネスシーンや日常会話でも使用されることが多い手法のひとつです。
NLPはコミュニケーションスキルを高めたい、本当の自分を知りたい、などという人に向いているコーチングです。
■ポジティブ心理学コーチング
ニュートラルな状態をプラスに引き上げるコーチングです。
学術的に効果が検証されているワークを組み合わせて行うのが特徴です。科学的根拠があるため、説明しやすいというメリットもあります。
主に学校における生徒の精神衛生改善に使われますが、職場でのストレス軽減にも効果的でしょう。そのため、ストレス耐性が低い人や、ネガティブに考えすぎてしまう人などに適しています。
■行動コーチング
目に見える「行動」にフォーカスしたコーチングです。内面に焦点をあてるとコーチングの成果が見えにくくなることもありますが、行動コーチングは「結果に現れやすい」という特徴があります。
基本的には下記6つのセッションで進めます。
1.教育
2.データ収集
3.アクティブ・プランの作成
4.行動の変化
5.フィードバックと測定
6.評価
企業の業績やチームの生産性向上に用いられるケースが多いため、経営者や管理職などの方に適しているでしょう。
■オントロジカル・コーチング
コーチング対象者の行動様式ではなく、本質的な特性を変えることを目的としたコーチングです。在り方にフォーカスしている点はコーアクティブ・コーチングにも似ているかもしれません。
コーチングモデルとして特殊な発展を遂げたため、独自の専門用語が多いという特徴があります。日本国内での実践者は少ない手法となっています。
コーチング理論を実践するためには
コーチング理論を実践するために意識したいポイントは、主に次の3つです。
・日常的にコーチングを使う
・マネジメントの手段として活用する
・自分自身がコーチングを受ける
それぞれ詳しく見ていきましょう。
■日常的にコーチングを使う
日常的なコミュニケーションのなかにも、コーチングを使う機会は少なくありません。メンバーや部下と1on1で話す機会などさまざまなシーンでコーチングを活用すれば、自然とコミュニケーション能力も高くなっていきます。
コーチングスキルは職場だけではなく家庭などでも活用できます。傾聴を重ねることで家族間の理解が深まり、より強固な信頼関係の構築につながるでしょう。
■マネジメントの手段として活用する
コーチングはマネジメントの手段としても活用できます。上司と部下の1on1ミーティングでコーチングを活用すれば、部下のモチベーションアップや自分で考える力を高めることも可能です。
ただし新入社員に仕事の進め方を伝えるときには、コーチングではなくティーチングを使った方がスムーズでしょう。業務効率化や生産性向上のためには、シーンに合わせてコーチングと他の方法を使い分けることも大切です。
■自分自身がコーチングを受ける
コーチングの理論や実践方法が分からないという方は、自身がクライアントになってコーチングを受けるのも、ひとつの方法です。
コーチが得意としている分野はそれぞれ異なるので、自分に適したサポート内容のコーチングを受ければ、プロのスキルを体感できます。
コーチング理論の違いを確認して状況に応じたコーチングの選択を
コーチングの理論には種類があるので、各理論の特徴を知っておくと適切な場面で活用できるようになります。これまでコーチングについて漠然としてイメージしかなかったという方も、今回の記事を参考に幅広いシーンでコーチング理論を役立ててみてください。
NPO法人クロスフィールズは、社会課題の現場と企業で働く人をつなぐさまざまな事業を行っています。「留職」プログラムではコーチングの手法考え方を取り入れるなど、プログラム参加者個人の成長をサポートする事業を多く展開しています。具体的な取り組みは公式noteやホームページでご紹介しています。ぜひ参考にしてください。