チョコを溶かすほど熱い9ヶ月、損保ジャパン社員が見つけたもの
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チョコを溶かすほど熱い9ヶ月、損保ジャパン社員が見つけたもの

「しんどさ以上に楽しくて、かけがえのない時間になっていた」

こう振り返るのは損保ジャパン(株)の閏野さんです。入社から7年、営業などの経験を経て2020年6月から翌年2月まで国内留職に参加しました。

留職先のDari K(株)は2011年創業のベンチャー企業です。インドネシアでカカオ豆の生産からチョコレート製造、日本での販売まで一貫して行っています。創業者の吉野社長は「チョコレートを取り巻く市場の歪みを直したい」という思いで金融アナリストから転身。流通量の低かったインドネシア産カカオを、日本のマーケットで売れる製品に育て上げています。背景には現地の農家と改良を重ね、品質で勝負してきたことがあります。従来型のフェアトレードではなく、農家の努力が報われるマーケットづくりに取り組んでいるのです。 

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業務開始から1週間、閏野さんは留職への期待がさらに高まったといいます。

留職の目的は異なる環境でゼロイチの経験をし、チームを引っ張るリーダーシップを獲得すること。そのためDari Kのミーティングに参加し、色々な事業を仕掛けているのを実感してワクワクしています。社長の吉野さんからは「単なるボランティアではなく、ビジョンの実現を目指す仲間だと思っています」と言ってもらったので、早く結果を出して認めてもらいたいです。

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ほろ苦い3ヶ月のスタート

閏野さんが最初に担当となったのはオンライン販売事業。モール型ECサイトへの新規出店とそこでの売上拡大を目指します。しかし当初の意気込みとは裏腹に、苦戦が続きました。製造状況がわからず、現場との調整がうまくいかない。新規事業のため社内に経験者がおらず、相談できない。そんな状況が続き、出店がなかなか進まないのです。 

一方で業務を頼まれたら断れず、全てが中途半端という負のスパイラルに。

最初の3ヶ月は本当に苦しかった。できることは全部やっても、吉野さんから「スピードが遅く、アウトプットが少ない」と言われてしまって。思うような結果が出ない‥‥と落ち込みましたね。

それでもメンバーや製造現場の方々とコミュニケーションを重ね、流れをつかんでいきます。最終的にECサイトへの出店を実現し、売り上げも徐々に増加しました。一方で自身は満足していなかったようです。

ECサイトに加え、法人営業も担当してました。どちらもきちんと対応できたのですが、これって今までの営業経験を活かしてできたことなんです。でも僕は留職で営業スキルを伸ばしに来たんじゃない。もっとゼロイチを生み出す経験をしたいのに、これで終わっていいんだろうか。そんなモヤモヤが残りました。

転機は甘いドリンクだった

転機が訪れたのは、オンライン販売の案件がひと段落した10月下旬。すでに留職期間の半分が過ぎていました。ある飲料メーカーとの商談で「ドリンクを共同開発し、コンビニに展開しよう」という話を聞いた閏野さん。この機会を逃したら後がない!と、企画段階から積極的にアイデアを出しして熱意を伝え続けた結果、リーダーに抜擢。3ヶ月にわたり商品開発から販売まで取り組むことになりました。

本当に初めての連続でした。そもそも知識がないので、あらゆるチョコレートドリンクを飲んでみたんです。比べるうちにDari Kにしか生み出せない価値が見えてきて。それを元に商品コンセプトを設定しました。そこから飲料メーカーさんと試作を繰り返し、最終的にセブン-イレブンさんで販売することに。
その後の生産過程もまたチャレンジの連続でした。原材料の手配や生産スケジュール管理など、多くの方々と調整を重ねて進めました。Dari Kとしてこの規模で大量生産をしたことがないなか、社内外からの協力で販売にたどり着けました。

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閏野さんに「夢」を託した理由

外部からきた閏野さんに大型案件を任せた吉野社長。その決断に至った背景を伺いました。 

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最初、営業担当にしたのは組織を知ってもらうため。マーケット感覚や経営者の視点を身につけてほしくて、厳しいことも言いました。それでも閏野さんは食らいついてきた。足りないところは勉強し、言われたことは吸収していった。徐々に数字の成果も出してくる。そんな姿をみて「彼ならできる。あの案件を任せてみよう」と思ったんです。

僕にとって全国規模での販売は長年の夢でした。多くの人にフェアトレードだからではなく、おいしさで商品を認知してもらう機会だからです。そしてDari K商品の流通量が増えることは、インドネシアの農家さんへの還元になります。組織にとっても大切なプロジェクトを、閏野さんはやり切ってくれた。数字も含め、期待以上の成果を出してくれました。任せて本当によかったです。

想いで人を動かすリーダーに

閏野さんはさまざまな経験をし、当初とはまったく違う視点で物事を考えるようになったと振り返ります。

理想だけじゃゴールを達成できない。それをわかってるから吉野さんは数字にシビアでした。一方で人を動かすのはやっぱり「想い」だとも実感しています。振り返ると僕はずっと「インドネシアの農家さんの現状を変えるため、何事も本気」という吉野さんの情熱に突き動かされていたんです。だから厳しくても尊敬し続けたし、「ベンチャー企業で十分成果を出した。どこでも活躍できると、胸を張ってほしい」と言われたときは涙が出るほど嬉しかった。リーダーは人を引っ張るのではなく、「動かす」存在なんだと学びました。僕もそんなリーダーシップを磨いていきたいです。

留職を通じて仕事へのモチベーションも変化したと言います。

気づけば原動力は「自分の成長」ではなく、目の前の仕事が「インドネシアの農家さん」につながっているという意識でした。これってDari Kに限らず、どんな仕事でも同じだと思うんです。損保ジャパンに戻っても、自分の仕事が社会に与えるインパクトを見据えて働いていきます。

編集後記

私も閏野さんが携わったチョコレートドリンクを飲んだのですが、カカオ本来の味とフルーツの香りが絶妙にマッチしていました。その裏側にはこんなストーリーが隠されていたんですね。閏野さんも自身の「味」を生かして周りの人々を動かし、新たな環境で活躍することを期待しています。(広報・松本)

社会課題の現場と企業で働く人をつなぎ、課題解決とリーダー育成を目指すNPO法人クロスフィールズの公式noteです。新しい取り組みの数々や、その裏にある一人ひとりの物語をお届けします。