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アフリカンプリントよりパワフルな9ヶ月!留職で見つけた『好き』の大切さ

損保ジャパンの日髙さんは2021年6月から翌年2月までRICCI EVERYDAY(リッチーエブリデイ)に留職し、生産フローの改善やマーケティングを担当しました。

RICCI EVERYDAY は、多くはウガンダの⼥性や元子ども兵など社会的に疎外された女性たちが作るライフスタイル商品を日本に販売しています。代表の仲本千津さんがお母さまとともに2015年に創業し、ウガンダの工房ではおよそ20名が働いています。

RICCI EVERYDAY が手掛ける大胆でパワフルなアフリカンプリントを見た瞬間、『ここで働きたい!』って思ったんですそしてその直感は間違っていませんでした」という日髙さん。どんな9ヶ月を送ったのでしょうか。

カラフルなプリントの生産地で起こっていること

活動初日、日髙さんは代表・仲本さんから事業について説明を受けました。仲本さんはウガンダでの生産活動をこう語りました。

仲本:RICCI EVERYDAY は創業以来、現地のシングルマザーや元子ども兵を雇用してきました。彼女たちはたしかな技術があり、一生懸命働きます。ただ、経済的に困難な状況に陥りやすい立場なのです。

ウガンダはまだ経済的に不安定で、コロナ禍では給与が支払われずに解雇される人がたくさんいました。RICCI EVERYDAY も現地のロックダウンの影響で生産活動の停止を余儀なくされたことは何度もありますが、その状況でも現地スタッフには給料を支払っています。彼らが安心して働ける環境は絶対に守りたいんです。

RICCI EVERYDAY のウガンダ工房の様子

こう聞いた日髙さんの心に「より多くのお客様に、技術と誇りを持って働く彼女たちの商品を届けたい」という思いが芽生えました。

日髙さんが留職で主に取り組んだのは、生産フローの改善と日本における商品のマーケティングでした。活動を開始した1ヶ月目、生産側のウガンダとオンラインでコミュニケーションを実施。しかし言語の壁や通信問題などがあり、思うように生産フローの改善が進みません。マーケティング活動も1ヶ月では目に見える成果が生まれず、早くも行き詰まりを感じました。

色とりどりのラッキーバックが自信を生み出した

日髙さんに転機が訪れたのは留職開始から3ヶ月が経ったころ。自ら企画した福袋(ラッキーバック)の販売が成功したことがきっかけでした。

日髙:売上目標の達成だけでなく、大好きなRICCI EVERYDAY の商品をたくさんの方に届けられたことがとても嬉しかったんです。RICCI EVERYDAY の商品でワクワクしてほしい、自分らしくいてほしい、という想いが伝わったようで、モチベーションがぐっと上がりました

日髙さんが手掛けたラッキーバックの一例

請求のシステムや検査チェックシートなど、生産フローの取り組みも着々と改善が進んでいきます。日髙さんはこれをさらに発展させ、「商品をお客様にきちんと届けるための戦略」、いわゆるマーチャンダイジングに舵を切っていくことになりました。

まさかのロックダウン、乗り越えたのは……

日髙さんがマーチャンダイジングで特に注力したことが、「売れる商品を、売れるタイミングで生産する」ための仕組みづくりです。これまでは「作った商品を売る」フローでしたが、これを変えていくというもの。RICCI EVERYDAY としても長年取り組みたかったことのひとつでした。

しかしこれを開始した矢先の2021年夏、コロナ禍で現地がロックダウンに。すべての生産活動がストップし、当初の生産・販売計画も白紙になってしまいました。

「どうすればいいんだろう……」と途方にくれる日髙さんを後押ししたのが、RICCI EVERYDAY 代表・仲本さんの姿でした。

日髙:誰よりも明るく振る舞い、「できることをするしかない」と前向きに行動する仲本さんの姿勢を見て、私が落ち込んでいちゃダメだと気合いが入ったんです。

そこでまずはウガンダのスタッフとコミュニケーションを続け、「なぜこの商品をこの時期に日本で売りたいのか」など、私たちの考えや理由を伝えていきました。そうすると相手も理解してくれて、「良い商品を最適なタイミングで作って売ろう」という共通認識を持てるようになり、生産と販売の連携がスムーズになりました

同時に「ウガンダが厳しい状況のいま、日本で売上をあげることが現地スタッフの雇用継続につながる」と考えた日髙さんは、販促キャンペーンやPR活動の強化も実施。その結果、商品の売上増加も達成しました。

RICCI EVERYDAYに残した地図

日髙さんと一緒に歩みを進めてきた仲本さんは、「9ヶ月でRICCI EVERYDAY はガラっと変わった」と振り返ります。

RICCI EVERYDAY 代表・仲本千津さん

仲本:日髙さんが留職した9ヶ月間で、RICCI EVERYDAY は大きく変化したと感じています。特にマーチャンダイジングが進んだことで、生産・販売体制がパワーアップしました。

留職期間の後半、日髙さんは『自分が抜けた後もRICCI EVERYDAY が成長を続けていくためには、どうすればいいか』と、来年度の生産・販売計画や5年後のRICCI EVERYDAY のありたい姿と実現に向けたマイルストーンも私と一緒に作成してくれたんです。

これまで私は大きなビジョンを抱きつつ、実現に向けた計画を作る時間がありませんでした。そこで日髙さんは私と同じ視点をもち、未来のRICCI EVERYDAY とそこまでの道のりを描いてくれた。私たちにとって必要な地図を残してくれました

「好き」という気持ちに従っていく

留職を経て、日髙さんは「小さな行動の積み重ねが、やがて社会課題の解決につながる」ことの実感を得たといいます。

日髙:社会課題に対して自分は何もできないと、これまでは思っていました。でもひたむきに行動を続け、ウガンダの生産者に変化をもたらしている仲本さんを見て、小さな一歩の積み重ねで社会は変えられると感じるようになりました

自分のあり方も大きく変わったといいます。

日髙:RICCI EVERYDAY を知ったときに抱いた「ここで働きたい!」という直感に従ったら、本当に充実した日々になりました。

実はこれまで、あまり自分に自信がなかったんです。でも留職中は自分の『好き』という気持ちに従い、こだわりを持って仕事を進めていきました。そうしたら成果につながったし、自信にもなっていったんです。

留職後もRICCI EVERYDAY のモットーである「”好ましい”より、”好き”」を大切に働いていきたいどんな環境でも、一人ひとりが自分の「好き」を選択し、イキイキと働ける社会をめざしたいと思っています

編集後記


留職の活動を振り返る「最終レビュー」では、RICCI EVERYDAY の仲本さんが日髙さんへの感謝を涙ながらに伝えるシーンがあり、思わず私ももらい泣きしてしまいました。二人にとって留職の9ヶ月がどれほど深い経験になったのかと想像すると、今でも胸が熱くなります。

「周囲が驚くくらい大きな野望をもって、飛び立ってほしい」というパワフルなメッセージを仲本さんからもらった日髙さん。これからどんな活躍をするのか、楽しみでなりません。(広報・松本)