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コーチングスキル「傾聴・ 質問・ 承認」の3つを徹底解説。実践ポイントの紹介も

コーチングは、社員の自主性や自律性を高め、個人の成長だけでなくチーム力アップにも繋がる人材育成に必要なスキルです。近年のリモートワーク増加で社内コミュニケーションが一層求められるなか、コーチングへの注目が高まっています。すでに実践している企業も、なかなか効果が出ていない、正しいコーチングができているかわからない、など効果を感じられない場合は、コーチングの基礎スキルをもう一度見直すことも必要。ここでは、コーチングの基本となる「傾聴」「質問」「承認」の3つの各スキルについて、ポイントを踏まえた詳しい解説をしています。

「傾聴」はコーチングをスムーズに行うために重要なスキル

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傾聴力は、相手の話を聞いて本心を引き出すというスキルです。また、コーチングだけではなく社会人がチームで働くうえで必要なスキルともいわれています。それでは具体的に、傾聴力とはどういうスキルなのかについて説明していきます。

■相手の話を聴いて肯定する

傾聴の「きく」は「聴く」と書くように、相手の話に耳を傾けるという意味があります。世間話をなにげなく聞き流すのとは違い、話し手の目を見るのはもちろん、聴いているという姿勢や態度を相手に向けて示すことが必要です。また顔の表情も感情が表れやすいため、微笑みや驚き、悩ましいなどの感情もはっきりと表すことでより相手に伝わります。リアクションは大げさにとるのではなく、声は落ち着いたトーンで話しやすい雰囲気を与えると、相手もリラックスして心を開いてくれるはずです。

共感することで相手との絆を深める

傾聴は、話を聴くことで相手の心の奥底にある悩みや問題を引き出せれば成功したといえます。相手が話している間は「そうだね」「うんうん」と相づちをうったり、話した内容を繰り返したりするとより効果的です。途中相手の話が混乱してきた場合も「つまり〇〇ということですね」と要約するのも、傾聴として重要なスキル。しっかりと話を聴いてもらったと相手に安心感を与え、信頼関係も深くなります。

傾聴はコーチングの潤滑油

正しい「傾聴」を行うと、コーチングの基本である「質問」と「承認」もスムーズになります。上司と部下の間に壁がある、チームのまとまりがない場合は、傾聴がしっかりと行えていない可能性も。正しい傾聴ができているか、態度や姿勢、表情や声などをもう一度見直して意識した傾聴を行ってみましょう。すぐに効果はあらわれなくても続けることで、徐々に丁寧な傾聴ができるようになります。傾聴は個人が抱える問題だけでなく、チームや部署全体の課題解決への重要な入り口となるのです。

3つのスキルのうち「質問」スキルで最もコーチ力が発揮される

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コーチングの3つのスキルのうち最も重要といわれるのが質問スキルです。質問イコール情報収集と取り違える人もいますが、コーチングの質問は情報を得ることが目的ではなく、相手自身に気付きを与えることを目的に行う投げかけです。質問スキルはコーチ力が一番試されるものでもあるため、事前に質問の要点を理解しておきましょう。

オープンクエスチョンで会話を発展させる

質問スキルには2つのパターンがあります。1つは回答が「はい」か「いいえ」に限定されるクローズドクエスチョン、もう1つは自由な回答を相手に求めるオーブンクエスチョンです。コーチングの場合は後者のほうが有効です。答えが不確定なため、答えようとするアクションを自発的に起こさせることができます。
例えば社員へ「疑問はありますか」と質問すると回答選択肢が「はい」か「いいえ」になってしまいます。この場合「どういう疑問がありますか」と質問することで、相手の考えや気持ちを深く理解でき、会話が継続するのです。

5W1Hで疑問をより明確にしていく
質問で最初の回答が得られることに成功すれば、そこから詳細を詰める質問をしていきます。具体的な質問内容は5W1Hを意識するといいでしょう。
 ・いつそれは起きたのか(when)
 ・どこでそれは起きたのか(where)
 ・誰がその問題に関係するのか(who)
 ・なにが起きたのか(what)
 ・どのように起きたのか(how)なぜ起きたのか(why)

相手はこのような質問に返答することで、思い込みを払拭して真の課題に気付くことができます。そしてその課題を、どう解決していけばよいかを自分自身で見出すきっかけになるのです。質問内容は、過去だけでなく、未来のビジョンや目標を明確にする場合にも有効です。
 ・いつに向けて行動するのか
 ・どこで行動を起こすのか
 ・誰に向けて行動するか
 ・行動することでなにが得られるのか
 ・どうやって行動していくのか
 ・なぜその行動が必要なのか

正しい質問は社員の主体性を高め育成に繋がる

コーチングの質問スキルは、課題となる問題点を相手自身に気付かせ、解決に向けた具体的な行動へと促すきっかけを与えることができます。また質問を繰り返すことでコミュニケーションも深められて、上司と部下という関係性が良好になるだけでなく、問題解決にも繋がります。そのため質問スキルは、3つの基本スキルのなかでも特に重要であり最もコーチング力が試されるのです。日頃から質問力を磨くために、多角的な視点でものごとを見るよう心掛けることで質問スキル力がアップするでしょう。

「承認」スキルで社員との信頼関係をより深める

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コーチングの3つ目のスキルは承認です。相手の話を傾聴し、質問でより具体的な真相を聞き出したら、相手を受け止めて認めるというスキルが必要です。ビジネス面では上司やリーダーに必要とされるスキルです。

社員が自主的な行動力を身につけ、主体性のある考えを持てるようにするには、単純に褒めて伸ばすだけではなく、いかに認めるかが大事。ここでは承認していることを、具体的に伝える方法について解説します。

存在承認で自己肯定感を与える

承認は「承諾」して「認める」という字が使われています。ここで重要なのは認めるという動作です。あなたを認めています、必要としています、ということを、具体的に行動や態度で表わさなければ相手に伝わりません。例えば、嬉しそうな表情を見て「なにか良いことでもありましたか」と声をかけるだけでも、相手の存在を認めることになります。また声をかける以外にも、相手に意見を求めたり相談したりという投げかけも有効です。存在を認めることは、自分は認められているのだという社員の自己肯定感に繋がります。

行動や結果の承認でモチベーションアップ

承認していることを伝えるには、言葉で表すことも必要です。例えば業務成果が出た部下に対して「よく頑張りました」だけではなく、具体的に成果に繋がった行動を認めることで、相手自身の行動に気付きを与えられ、次回の活力となります。また、部下に失敗があった場合には、失敗したという結果だけを見るのではなく、相手の努力も認めることが重要。否定せず相手を受け止めることでモチベーションを高められるのです。

「承認」スキルの効果的な伝え方

具体的に承認するときは、次の3つの伝えかたをヒントに実践することが効果的です。

・Youメッセージ
まずは伝えるときの主語を「あなた」にします。あなた自身がこうである、という存在を認めていることを伝えられる言葉です。
 ・あなたは細かなことも気付けるのですね
 ・あなたは素直さが魅力ですね
 ・あなたはいつも努力していますね
と、主語を相手にすることで、自分に関心を持ってもらえているのだと安心感を与えられます
ポイントは気持ちがダイレクトに伝わること。遠回しな言いかたや、上から目線になるような言葉を使わないよう意識します。素直に相手に受け取ってもらえる言葉を使うことが大切です。

・Iメッセージ
相手の警戒心をほぐすのに有効な言葉として、主語を「わたし」にする伝え方もあります。
 ・あなたがいてくれたから助かりました
 ・あなたの意見はとても参考になりました
 ・あなたの頑張る姿がわたしを励ましてくれます
これらの言葉は、相手によって自分がどう影響を受けたのかを伝えるため、相手の行動を承認していることが伝えられます。

・Weメッセージ
より強い承認を伝えるのに、主語を「わたし」から「私たち」に変えるという方法もあります。
 ・あなたのおかげで私たちチームの目標が達成しました
 ・あなたがいてくれるおかげで部署の雰囲気が良くなりました
 ・会社にとってあなたは大切な社員の一人です
これは、影響を受けたのが一人ではなく大勢ということを伝えられます。相手を承認しているのが自分だけでなく、チーム全体や組織全体だと伝えるため、もっともインパクトを与えます。

相手との信頼関係構築には量よりも質と頻度

承認スキルを有効なものにするには、常に相手の行動や動作に目を配るという努力が必要です。人は承認されることで欲求が満たされ、モチベーションが上がります。承認スキルを磨くためには、日々のなにげない言葉のキャッチボールが必要です。話す内容よりも、些細な変化に気付いて言葉をかけられるよう、常にアンテナをはることで自然と身に付いてくるでしょう。

まとめ:コーチング3つのスキル習得でビジネス成功に必要なリーダーを育成

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コーチングは継続することが大切です。「傾聴」「質問」「承認」3つの基礎を大切にしながら定期的に実施することで、コーチング力も向上します。まずは正しいコーチングができているか、今回紹介した3つのスキルを活用しながら自分自身をセルフコーチするのもおすすめです。

NPO法人クロスフィールズは、社会課題の現場と企業で働く人をつなぐさまざまな事業を行っています。「留職」プログラムではコーチングの手法を取り入れるなど、プログラム参加者の成長をサポートする事業を多く展開しています。具体的な取り組みは公式noteやホームページでご紹介しています。ぜひ参考にしてください。



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