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レジリエンスとSDGsの関連性|持続可能な社会をつくるために
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レジリエンスとSDGsの関連性|持続可能な社会をつくるために

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「柔軟性のある」「強靭な」などを意味するレジリエンスは、持続可能な社会を実現するためのキーワードです。新型コロナウイルスの世界的蔓延では、まさに社会と企業のレジリエンスが試されました。SDGsの達成においてもレジリエンスが鍵になります。

今回はレジリエンスとSDGsの関連性を理解するために、レジリエンスの意味やSDGsのレジリエンス関連目標を解説し、日本企業のレジリエンスへの取り組みを紹介します。

SDGsで重視されるレジリエンス・レジリエントという言葉

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レジリエンスは本来、工学や物理学の用語ですが、今ではさまざまなシーンで使用されています。以下でレジリエンスの意味と国際社会での広まりについて説明していきます。

■レジリエンスとは

「レジリエンス(resilience)」とは、英語で「回復力」や「弾力性」「強靭性」を意味し、困難な状況を克服する力のことです。「レジリエント(resilient)」はその形容詞で、「弾力性のある」「柔軟性のある」「強靭な」という意味を持ちます。

元々使用されていた工学や物理学において、レジリエンスは「物体が外部からの力で変形した際、力をどのくらい吸収し、どのくらい元の形に戻ろうとするのか」という意味で使われていました。今では生態環境学や社会環境システム、心理学でも広く使用されています。ビジネスにおいては「企業のレジリエンスを高める」「レジリエントな人材」といった表現で用いられます。

概して、レジリエントとは難局にも負けない対応力を発揮し、安定性や持続性がある様子を言い表す言葉です。

■レジリエンスを国際社会も重視

2013年の世界経済フォーラム(ダボス会議)において、想定外の危機に対応する能力を表す概念としてレジリエンスが提唱されました。震災や水害などの自然災害の脅威や新型コロナウイルスの世界的蔓延、過酷な労働環境や自然環境の破壊など、私たち人間社会の存続を脅かす事象は数多くあります。それらの困難や課題に打ち克つためのキーワードがレジリエンス/レジリエントなのです。

レジリエンス/レジリエントは、持続可能な社会を目指した国際目標であるSDGsにおいても重視されています。「社会のレジリエンス」「レジリエントな活動」「レジリエンスの強化」という言い回しが複数のSDGsの文章中に登場します。

レジリエンスと関連するSDGsの目標

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SDGs(Sustainable Development Goals)は、2030年までに持続可能なよりよい世界を目指すための国際目標です。17の目標と169のターゲットで構成されたSDGsには、レジリエンスとレジリエントが重要なキーワードとして盛り込まれています。

■SDG1「貧困をなくそう」

ターゲット1.5において「貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築」することが述べられています。私たちは経済、社会、環境の問題のほか、気象現象や災害などに対する貧困層の脆弱性を軽減する必要があります。

貧困問題は日本でも解決すべき課題のひとつです。経済状況の悪化や災害が起こったときの支援措置や、安全な生活環境の確保などが社会のレジリエンスとして挙げられます。

■SDG2「飢餓をゼロ」

これだけ社会が発展した21世紀の現在でも、飢餓の根絶はできていません。むしろ人口爆発による食糧問題も危惧されているのが現状です。ターゲット2.4では、「持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する」ことが掲げられています。

日清医療食品株式会社のように新興国の飢餓問題に援助を行っている日本企業もあります。

■SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」

市場経済が根底にある国際社会において、持続的な経済成長をしていくためには産業の発展と技術の革新が不可欠です。ターゲット9.1および9.aでは「持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ」の開発、または開発の促進を目標にしています。

質が高くて信頼できるインフラは、特に新興国における経済発展や福祉を支援するために重要なものです。

■SDG11「住み続けられるまちづくりを」

ターゲット11.bでは、多くの都市に「包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施」することを、ターゲット11.cでは「後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する」ことを掲げています。

たとえば内戦や紛争で荒廃した新興国の都市再生は、まさにレジリエントな営みを象徴するものです

■SDG13「気候変動に具体的な対策を」

ターゲット13.1は「全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する」ことです。

UNDP(国連開発計画)によると地球温暖化に影響を与える温室効果ガス排出量は、1990年から2020年にかけて50%以上も増えています。地球温暖化が進んでいくと、河川の氾濫や土砂災害、干ばつ、海面上昇などさまざまな被害がさらに拡大する恐れがあります。特に内陸国や島嶼(とうしょ)国など気候変化の影響を受けやすい地域では、自然災害に対するレジリエンスを強化する取り組みが必要です。

■SDG14「海の豊かさを守ろう」

海はすべての生命の源であり、海洋国である日本にとって水産資源の重要性はいうまでもありません。海洋ごみや富栄養化などの海洋汚染、あるいは乱獲によって水産資源は危機的な状況にさらされています。

「海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護」を行うことがターゲット14.2で明言されています。

SDGs達成に向けたレジリエンスの取り組み

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SDGsに取り組む企業の多くがレジリエンスに強い関心を示しています。持続可能を掲げるSDGsとレジリエンスには深い関係があるためです。ここでは日本企業のレジリエンスの取り組みを紹介します。

■株式会社 日立製作所

日立製作所では、2020年のコロナショック以前よりテレワークの導入を本格化、働き方改革への取り組みも同時に行ってきました。IT環境の整備や在宅勤務、サテライトオフィス勤務制度などテレワーク環境の拡充を図り、多様な働き方に対応。組織のレジリエンスを高める取り組みを行っています。

このようなテレワークの推進はSDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標8「働きがいも経済成長も」、目標10「人や国の不平等をなくそう」の実現に向けた取り組みです。テレワークは新型コロナウイルスの感染防止策として有効に機能し、企業のレジリエンスを高めたといえるでしょう。

■キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングスは、社会と企業のレジリエンス強化へ向け「キリングループ環境ビジョン2050」を2020年2月に発表しました。企業内で完結するものから社会全体にポジティブな影響を与えられる取り組みへと進化させることを念頭に置いています。

自社商品を中心に、生物資源や水資源、容器包装、気候変動へポジティブなインパクトを与え、消費者をはじめとしたステークホルダーと協働して持続可能な社会の実現を目指しています。

■ユニ・チャーム株式会社

「Kyo-sei Life Vision 2030」を打ち出し、共生社会の実現を目指すユニ・チャーム。「ユニ・チャーム プリンシプル」のもと、心身・社会・地球の健康を守り、支えることを掲げています。

温室効果ガス削減や森林・土地利用・農業などの自然環境を対象とした取り組みなど、SDGsの目標に合わせた企業活動を行っています。育児生活の向上や衛生環境の向上などは社会のレジリエンスを補強する取り組みといえるでしょう。

■サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングスは森林保護や水資源の保護などに意欲的に取り組んでいます。2021年2月には「Alliance for Water Stewardship(AWS)」と連携協定を結び、日本における水のサステナビリティ推進のリーダーシップを担う企業に就任しました。

海洋自然保護団体とのパートナーシップ締結や東日本大震災の復興支援など、SDGsのレジリエンス関連目標に対しても活動を行っています。

SDGsへ取り組みながら企業のレジリエンスを高めよう

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「回復力」や「弾力性」「強靭性」を意味するレジリエンスは、SDGsにおける核心的なキーワードです。企業はCSR活動やSDGsへの取り組みに絡めて、環境や社会、そして企業自体のレジリエンスを高めることが求められています。SDGsでのレジリエンスの重要性を理解し、企業活動へ積極的に取り入れることが大切です。

多くの企業がSDGsの取り組みのなかで、レジリエンスの強化につながる活動を実践しています。今回ご紹介した企業の事例をヒントに、自社の商品やサービスと関連づけたレジリエンスへの取り組みを模索してみてはいかがでしょうか。

NPO法人クロスフィールズは、社会課題の解決とリーダー育成の両方を実現するさまざまな事業を展開しています。具体的な取り組みは公式noteやホームページで紹介しています。ぜひ参考にしてください。


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