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留職で部下はどう変化した?留職者と上長の対談インタビュー(後編)

(株)クボタは2023年より留職を導入し、これまで3名が参加しました。今回はカンボジアに留職した吉岡さんと上長の能登さんより、留職に参加した理由や送り出し側の心境とリアル、今後のキャリアなどを伺いました!

*本記事は前後編です。前編は以下よりご覧ください。

留職を通じて生まれた個人と組織の変化

――留職を経て仕事への向き合い方にどのような変化がありましたか?

吉岡:相手に熱意を伝えることへの意識が強くなりました。留職では熱意を持って「ミッション・ビジョン・バリューの変革に取り組みたい」と伝えたら、想いが伝わって受け入れてもらえたという経験をし、物事を動かすにはロジックだけでなく感情も大切だと実感しました。そのため、今でも相手に熱意を伝えることは意識して働いています。

渕上:一緒に働いている能登さんの視点から、吉岡さんはどのように変化したと感じますか?

能登:吉岡さんって、どちらかというと常に冷静な印象だったんですよね。それが留職を経て、冷静でありながら、「熱意」が全面に出てくるようになりました。

能登:あとは以前よりも高い視座で考えていることが業務のアウトプットを通じて伝わっています。短期的な成果だけでなく、長期的かつ広い領域まで考えているな、と。これは留職・スタートアップ、という全く異なる環境、立場において、その視座・視野で考えて実践したから、吉岡さん自身にしっかり身についたのだと思います。

大企業で働いていると年次や役割の関係から若手社員が実際に視座を上げて行動する機会が限定的になってしまう部分がありますが、留職ではそうせざるを得ない側面もあり、よい実践機会になると感じています。

仕事におけるコミュニケーションも変わりました。以前よりもさらに相手の目線に立ちながら自身の意見もしっかり伝えており、吉岡さんのなかで「相手を巻き込む」意識が強くなったのではと思います。

吉岡:前は「相手に嫌な思いをさせたくない」と、発言に躊躇してしまう場面もあったのですが、今はその意識が以前よりなくなって、より自分の意見を相手に伝えられるようになりました。

留職で得た視点や経験、職場で発揮

――留職の経験は、どのように現業に生きていますか?

吉岡:現在はマーケティング戦略に携わっているので、まさに留職で得た俯瞰してマーケティング戦略を考える思考や高い視座が生きています

あとは「熱意を持って仕事に取り組めば、周囲に伝播する」という意識を持って仕事に取り組むようになりました。その背景には、留職先のメンバーから「吉岡さんの仕事に取り組む姿勢や熱意は、英語がわからないメンバーにも伝わっているよ」と言ってもらえたことがあります。これがすごく嬉しかったんですよね。

どんな環境でも、自分が真摯に仕事に向き合えば周囲にも伝わるのだと意識しつつ働いています。

能登:吉岡さんのその意識、ちゃんと周りに伝わっていますよ。

マーケティング戦略立案のコアメンバーに入ってもらっていますが、他のメンバーから「吉岡さんと話をして、こんなアイデアを考えている」という声も出てくるなど、積極的に周りを巻き込んでいますよね。

吉岡:チームメンバーから良い影響を与えてもらうだけではなく、「自分も良い影響を与えよう」と思うようになったのも、留職を通じた変化かもしれません。

能登:吉岡さんは常に俯瞰してマーケティング戦略を考えてくれているし、情報への感度も高いので、彼との会話で「なぜこれをやるのか」「こういうものが使えるのではないか」といった、自分自身が立ち返るきっかけや新しい視点、学びをもらっています。

「全く異なる環境での挑戦」は社員が成長する機会に

――今後のキャリアについて教えてください。

吉岡:これまで「新興国でマーケティングに携わりたい」というキャリアをぼんやりと描いていました。でも今は「まず国内マーケティングで数年経験を積んで、そのあとに海外の現地に飛び込んでマーケティングに挑戦し、さらにはクボタが進出してない地域でも”クボタファン”を増やして、農業と貧困問題の解決に取り組みたい」と思うようになりました。

留職を通じて海外で働くときに今の自分に足りないスキルと、逆に活かせる経験がわかったので、キャリア観を具体化できたのだと思います。

能登:吉岡さんのように国内事業に関わったメンバーがグローバルでも活躍し、組織をリードしていってほしいと思っています。

当社の事業規模は海外が大きいのですが、国内事業だからこそ学べることもたくさんあります。日本での学びを海外でも活かし、実践経験を積んでいくことで、グローバルに活躍できるリーダーが生まれると思います。

だから吉岡さん含めて、特に若い層のメンバーは、国内事業の経験で培ったものを武器に海外も含めて広く挑戦し、会社全体に影響力を発揮する存在になっていってほしいです。

ーー部下を送り出した上司の目線で、留職の価値はどこにあると感じていますか?

能登:全く異なる環境で奮闘する経験を積み、組織に戻ってきてもらえることです。同じ環境で働き続けると、結果的に「自分が考える可能な範囲」だけで仕事をこなすようになることもあるのではと思います。一方で、これまで「異なる環境に飛び込む」方法は転職くらいしか選択肢がなく、これでは会社としてダメージが大きいですよね。留職は組織に戻ってくる前提で設計されているので、個人の成長だけではなく組織にとっても多くの価値があるプログラムだと感じています。

留職の参加を止める理由なし!ぜひ挑戦してもらいたい


――最後に、能登さんには「部下から留職に参加したいと言われた方」へ、吉岡さんには「留職参加に迷っている方」へのメッセージをお願いします!

能登:上司の方には、ぜひ後押ししてくださいと伝えたいです。もし止めようと思っている方がいたら、「止める理由を誰に対しても説明ができるかを自問してみましょう」と。

「自分やチームの業務が大変になるから、3ヶ月も不在にされては困る」という理由はあるかもしれません。でも、会社がつくってくれた限られた機会に、明確な意思をもって手を挙げるメンバーがいるなかで、それを究極的には社長にも向かって言えるのか、だと思います。

個人の成長が組織の発展につながるので、制約があるなかでも、意思がある部下を応援し、サポートすることは重要な上司の役目です。ぜひ後押ししてもらいたいです。

吉岡:留職に興味がある時点で絶対にエントリーした方がいいです!「留職いいかも」と思うのは自分のなかに何らかの理由があるはず。

実際に応募のプロセスを経ること自体が自分のやりたいことやキャリアの棚卸しになりました。私は「選考に通るかわからないけど、まずはやってみよう」と挑戦してみた結果、すごく良い経験ができたので、まずは一歩踏み出してみるのがいいと思います。

ーーーお話、ありがとうございました!

インタビュー後記

もともと少し遠慮がちだった吉岡さんは、3ヶ月の留職を経て自分自身の信念を見つけ、その信念をもとに熱意を持って主体的に行動するリーダーへと変貌していきました。留職から1年以上経った今も、その熱意を絶やさず組織をリードしている姿に、伴走者としてとても勇気づけられました。

能登さんやチームにとって、メンバーが3ヶ月間抜けることは挑戦だったと思いますが、その挑戦があったからこそ今の吉岡さんがいて、彼から様々な刺激を受けたチームがさらに大きな挑戦に向かっていく……そんな熱量の高い機運を感じました。留職は留職者本人はもちろん、派遣元の上長やチームにとっても大きな挑戦だと思います。

その挑戦の先にあるより強いチームや組織を作っていくために、挑戦者の皆様をクロスフィールズは全力で伴走させていただきます。(渕上)

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留職プログラムについては、以下のページをご覧ください。