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留職で部下はどう変化した?留職者と上長の対談インタビュー(前編)

(株)クボタは2023年より留職を導入し、これまで3名が参加しました。
今回はカンボジアに留職した吉岡さんと上長の能登さんより、留職に参加した理由や送り出し側の心境とリアル、今後のキャリアなどを伺いました!

<インタビュイー>
吉岡さん:2018年入社後、主に農機国内事業のマーケティングを担当。
入社6年目に留職へ参加。カンボジアのMy Dream Homeで活動した。

能登さん:農機国内企画部マーケティング推進課長。
同じチームの上長として吉岡さんを送り出し、留職プログラム後も共に働いている。

<インタビュワー>
渕上:クロスフィールズ・留職事業リーダー。
プロジェクトマネージャーとして吉岡さんの留職を伴走。

「留職は自分のためにある!」直感で応募

――留職に参加したきっかけを教えてください。

吉岡:公募を見た瞬間、「留職プログラムは自分のためにあるのでは?」と思ったほど、私が求めている経験が得られそうだったからです。

もともと大学時代から国際的な社会課題に関心がありました。タイ都市部の貧困問題を卒論テーマにしていたのですが、この時に農村部の人々の貧困問題と都市部のスラムが深く関係していると知り、農村部の貧困解決に取り組みたいという理由からクボタに入社しました。

入社以来、国内の農業機械事業を担当してきましたが、留職の概要を知った時に入社時の気持ちが呼び起こされ、「今の自分が海外の社会課題解決にどう寄与できるか、挑戦したい」と思いました。

もう1つの理由としては、組織を超えて様々な人を巻き込むリーダーシップと、グローバルな観点で市場を捉える高い視座が得られそうだと思ったことがあります。

農業機械市場の競争率が高まるなか、人を巻き込むリーダーシップとグローバルな視点がより求められていると感じていました。これらのスキルを磨くうえでも、クボタという看板が通用しない環境で挑戦する経験はきっと役に立つと思ったんです。

渕上:吉岡さんが派遣されたのは、カンボジア・プノンペンで低所得者層向けに住宅資材を販売するスタートアップ・My Dream Home(以下、MDH)でしたね。実際に留職してみて、当初の目的は達成できましたか?

吉岡:できたと思います。最初は「活動期間が3ヶ月は短いな」と思ったのですが、想像以上に留職先で取り組めることはたくさんあり、自己成長にもつながりました。

ただ、最初はコミュニケーションに苦戦しましたね……。日本だったら言葉にしなくてもいいことが伝わらなかったり、認識の相違があったりして、第一週目は毎日「難しい……」と思っていました。

でも渕上さんから「徹底的に理解するまで粘り強く対話していこう」と言ってもらい、それを意識したら徐々にコミュニケーションが円滑になっていきました。

留職先の代表とコミュニケーションを重ねた(吉岡さん・写真左)

中盤は自分で業務を創出していくことにも挑戦しました。当初、留職での主な担当はデジタルマーケティングツールの導入でしたが「デジタルマーケティングとマーケティング戦略が合致しているのか。さらにはMDHのミッション・ビジョン・バリュー(MVV)が現状と合致しているか」と考えるようになりました。その結果、ビジョン・ミッションから変えていく必要がありそうだなと思ったんです。

その一方で、加入して1ヶ月も経たないタイミングで団体の核となる部分に踏み込んでいいのか?という葛藤がありました。でもここで立ち止まったら前に進めないと思い切って、団体の代表に「MVVを考える機会をつくりたい」と熱意を持って伝えたら受け入れてくれ、MVVを刷新。新たなMVVに基づいたマーケティング戦略の立案と実施まで行うことができました。

送り出しに不安はゼロ。部下の挑戦を応援する理由

――上司の能登さんに伺いたいのですが、吉岡さんを送り出す時に不安はありませんでしたか?

能登正直、不安は全くありませんでした。本人から留職に参加したいと聞いたとき、ぜひ行ってほしいと思いましたし、拒む理由はないなと。

そもそも会社がこういう制度をつくって社員が挑戦する機会の存在自体が幸せなことなので、そこに挑戦したいというのであれば全力で応援したいと思いました。 

個人的に「挑戦したい」という意思をもっていることが大事だと思っています。自分の意思で挑戦するなら、大変な時でも踏ん張れる。だから吉岡さんが自身の意思を伝えてくれたときは「行って来い!」という気持ちでした。

また、以前に吉岡さんから将来的には新興国でのマーケティングに携わりたいことは聞いていたので、留職プログラムは彼にぴったりだから絶対行ったほうがいいと思ったんです。

渕上:業務の引き継ぎは問題なかったですか?

能登:(当時は兼務業務で期間が3カ月ということもありましたが)「このチームなら大丈夫」という確信がありましたし、問題なく引き継ぎができました。実際にはまず吉岡さん自身に「何を誰にどう引き継ぐか」設計してもらい、それを私が承認してメンバーに共有していきました。

メンバーは非常に協力的で、みんな忙しい中で実際に負荷もあったと思いますが、しっかり取り組んでくれました。その背景にはチームに信頼しあえる関係性があり、メンバーの挑戦を応援しようという風土があるからだと思います。

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後編では「留職で得た視点や経験をどう活かしているか」「上司の目線で感じる留職の価値」などを伺いました。ぜひ続けてご覧ください!