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住友商事の社員が原生林で見つけた「自分らしいリーダーシップ」

CROSS FIELDS

2022年7月、住友商事の社員が「社会課題体感フィールドスタディ」に参加しました。参加者は入社10〜15年目にあたる次世代リーダー層の21名です。各事業部やコーポレート部門から参加しました。

社会課題体感フィールドスタディとは、国内外の社会課題の現場を「体感」し、困難な課題に立ち向かうリーダーの活動と志から刺激を受ける数日間のプログラム。今回は、オンラインでの事前セッションと、岡山県西粟倉村での現地セッションの二部構成です。

西粟倉村で自身のやりたいことを実現しているリーダーから刺激を受け、参加者には2日間でどんな変化が生まれたのでしょうか。

舞台はローカルベンチャー発祥の地・岡山県西粟倉村

住友商事では社会課題体感フィールドスタディを2017年から実施しており、今回は課長および次期課長クラスの社員を対象に行いました。

目的は参加者が様々な視点から自身の価値観を見つめ直し、周囲を巻き込んで経営の一翼を担うリーダーシップを育むこと。社会課題の現場に身を置くことで組織の外部環境である「社会」の視点を獲得し、自身の業務や担当する事業において社会を見据えた持続的な戦略を立て、率先して遂行するリーダーを育成するねらいがあります。

訪問先は岡山県西粟倉村。

岡山県と鳥取県の県境に位置する人口約1400人の同村では、過去に政府主導で行われた市町村合併を拒み、村として存続することを決めた背景があります。住民は村が自立して存続する方法を考え、地域にある資源を活用して産業を生み出してきました。このような取り組みの結果、一時は減少していた児童数が増えるなどの変化が生まれ始めています。

キャプション:プログラムの舞台・岡山県西粟倉村(写真提供:エーゼロ)

今回のプログラムでは、西粟倉村で様々な事業を手掛けるエーゼロ(株)を訪問しました。村で起業する人々を支援するローカルベンチャー育成事業、木材加工事業や鰻の養殖、獣肉の加工・流通など多様なビジネスを展開しています。

代表の牧大介さんは民間企業で森林や山村の新規事業企画などに携わった後、09年に木材加工・流通を手掛ける西粟倉 森の学校を創業。15年にはホールディングス部門をエーゼロとして独立させ、現在はぞれぞれの代表として活動しています。

事前セッションで社会課題とビジネスの接点を考える

社会課題フィールドスタディでは、参加者が五感を使い現地で感じたことを、周囲と対話することを大切にしています。

オンラインによる事前セッションでは、クロスフィールズ小沼より「地域の社会課題に取り組む意義」をテーマとした講話や、西粟倉村に関する基本情報のインプットを行い、参加者同士で感想共有やグループディスカッションを実施しました。

事前セッションを経た参加者は「社会課題は遠い存在で、普段の生活とあまり接点がないため、とても楽しみ」「エーゼロの方々はなぜ人生をかけて課題解決型の事業に取り組むのか、ご本人にモチベーションを伺いたい」
など、現地訪問に対する期待が膨らんでいきました。

現地訪問で西粟倉村を体感、原生林から組織を見つめる

事前セッションから1週間後、21名の参加者は西粟倉村へ。1泊2日のスケジュールで村やエーゼロの活動を視察しました。初日はエーゼロ代表・牧さんによる講話と原生林トレッキングを実施。

講話では西粟倉村の出身ではない牧さんが、西粟倉村で起業した理由や創業時の苦悩、現在の取り組みや今後の展望について伺いました。

牧さん:西粟倉村で起業した理由は、この土地が外から来た自分を受け入れてくれたことが大きいです。いわゆる「ヨソモノ」を受け入れる風土があったんですよね。それに加えて、この村にはチャンスがたくさんありました

たしかに、ここで事業を開始したときは無理と言いたくなるような状況もありました。でも村の方々と対話し、一緒にアイデアを形にしていくうちに、ここにはまだまだチャンスがたくさんあると思ったんです

いまは地域にある可能性を発掘して未来の里山をつくりたい、という展望を持って事業に取り組んでいます。

講話のあとは原生林トレッキングへ。

一見するとただの森でも、牧さんの解説を聞くと自然の営みと人間の共通性が見えてきました。

牧さん:ここにある植物は様々な種類があります。どれも他の植物や生物をうまく利用し、協力しあって環境変化を乗り越え、生存しています。これって人間も同じだと思うんです。ひとつの組織が生き抜くには、周りにいるステークホルダーと協力しあい、社会の変化に対応し続けていますよね。

牧さんの話や原生林でのトレッキングを振り返り、参加者からはこんな声が聞こえてきました。

原生林のトレッキングを通じて、森も村も会社もすべて『生き物』なんだと感じました。長い目で見て誰もが共存できる社会の仕組みを創っていきたいし、そのためには時代の変化に応じて変われる組織にしていきたいです。

牧さんに、なぜ西粟倉村を自分事としてとらえ、ここまでがんばれるのか?と聞いてみたら、「村の人々と対話するなかでじわじわと愛着が生まれ、彼らが紡いできた物語を守りたいと思ったから」
という答えが返ってきました。そしてふと、これって自分の仕事でも同じだと感じました。

これまでの事業を思い返すと協働した方々の顔が最初に出てくるし、「彼らとの事業を守りたい」という気持ちでがんばってきたんですよね。社会課題解決に取り組む人と自分は違う世界に住んでいると思っていましたが、そうじゃないかもしれません。

1日目の経験を言葉に落としていく参加者たち

様々なリーダーのストーリーから刺激を得る

翌日はエーゼロの道端慶太郎さんと、西粟倉 森の学校より西岡太史さんを迎えたパネルディスカッションを実施しました。創業期から関わり、様々な局面を乗り越えてきたお二人です。

道端さんは鰻や獣肉の加工・流通事業リーダーなどを務めています。動植物調査などに関わった後エーゼロに加入しました。

道端さん:もともと生き物が大好きで、動植物を守りたいという強い想いがありました。エーゼロに加入したのは、この自分のビジョンと組織が目指す方向性が合致しているからです。やりたいことを実現できている感覚を持ち、楽しみながら働いています

一方の西岡さんは、執行役員のほか材木加工事業のリーダーなどを務めています。木材加工では村の間伐材に付加価値をつけて商品にし、販売することに取り組んでいます。

西岡さん:木材の事業はなかなか軌道に乗らず、最初は本当に大変でした。
でも諦めなかったのは、この世にないものを生み出したいという想いがあったから。斜陽だと言われている材木産業を前に進められたら、周囲に変化を起こせると信じてきました。だから成果が生まれてきたし、今日まで続けてこられました。

参加者は西粟倉村で活動する方々と自身の姿を照らし合わせ、仕事を通じて実現したいことや創っていきたい組織のあり方を考えていきます。

西岡さんの案内で材木事業の現場視察も実施

西粟倉村で見つけたパーパスとリーダーシップ

2日にわたり西粟倉村の挑戦や、信念を持って変革に取り組む人々の姿に触れ、自らのパーパスを見つめ直してきた参加者たち。

最終日には西粟倉村で感じたことを振り返り、こう話しました。

西粟倉村の方々は自分の「やりたい」という気持ちをエネルギーに行動し、その結果が社会課題の解決につながっていました

制限のある環境を乗り越えていく彼らの姿から、自分も心の中にある熱意やモチベーションを大切にしたいと感じました。

今後は、部門の枠を超えて自分たちが持つリソースを掛け算し、社会にとっても良いインパクトを生み出せる組織を創り上げていきたいです。

その実現のために必要なリーダーシップを西粟倉村の方々から学べたので、この学びを活かして自身の振り返りや今後のあり方を考えていきたいです。

***
岡山県西粟倉村という東京から遠く離れた場所で、自分のパーパスと組織のありたい姿を見つける旅を経験した21名の参加者たち。今回の学びや気づきをどのように未来へとつなげていくのでしょうか。

企業のサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の重要性が高まるなかで、一人ひとりが社会課題への理解を深めつつ自身のパーパスを見つけ、組織の未来を切り拓いていくことが大切になってきています。

社会課題体感フィールドスタディでは、社会課題への越境を通じたパーパスの発見を後押ししています。プログラムの詳細は以下よりご覧ください。


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