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いま求められる教育の姿とは?社会課題の現場×人材育成の可能性に迫る! 

CROSS FIELDS

社会がポストコロナへと移行するなか、次世代の担う子どもに必要な教育とはどのようなものでしょうか?

今回は「いま求められる最先端の教育の姿」について、東明館学園の校長・神野元基氏、トビタテ!留学JAPAN・広報チームリーダーの西川朋子氏と深堀りました。(本レポートは2022/11/24開催「グローバルキャリア探究キャンパスCROSS BRIDGE開講記念イベント」を元に作成しています)

人生の早いタイミングで社会課題と接点を持つ大切さ

小沼:クロスフィールズ小沼です。私たちはこれまで社会人向けに留職や社会課題体感フィールドスタディなど社会課題の現場を舞台としたプログラムを提供し、国内外の社会課題の解決を自分事化する人を増やしてきました。

小沼 大地:NPO法人クロスフィールズ共同創業者・代表理事。
青年海外協力隊として中東シリアで活動した後、マッキンゼー・アンド・カンパニーで勤務。
2011年5月にNPO法人クロスフィールズを創業。 

小沼:クロスフィールズは「留職」など社会人向けの取り組みを経て、2022年12月から高校生向けキャリア教育プログラム「CROSS BRIDGE(クロスブリッジ)」を開講することになりました。

クロスブリッジは全国の高校生がオンラインで国際的な社会課題と接点を持ち、その解決に取り組むロールモデルとの出会いから、自身のキャリアの可能性を広げていくプログラムです。人生の早いタイミングでグローバルな社会課題との接点を持つことで、その解決を進路の選択肢に入れたり、自分の個性や可能性を拓いたりする人を増やしたいと考え、このプログラムを立ち上げました。

プログラムの詳細はwebサイトに記載していますが、オンラインでは国内外で社会課題に取り組むリーダーと対話したり、任意の対面のセッションでは福島県・南相馬市に訪問したりする2ヶ月間となっています。
参加費無料かつ原則オンライン実施にし、日本中の高校生がどこからでも参加できることにこだわりました。(※2022年度の応募は終了しました)

今日はクロスブリッジのような探究型教育プログラムが重要となってきた背景や、いま求められている教育のあり方について、東明館学園の校長・神野元基さんとトビタテ!留学JAPAN・広報チームリーダーの西川朋子さんとお話ししていきます。

社会がSociety 5.0に向かうなか「探究心を磨く教育」が求められている

神野:東明館学園で校長を務めている神野です。2022年4月から校長に就任し、文部科学省が唱える「令和の日本型学校教育」を体現しようと様々な施策を行っています。

神野 元基:学校法人 東明館学園 校長
2010年シリコンバレーで起業し、2014年にAIドリルQubenaの開発に着手。
2019年に文部科学省・中央教育審議会の臨時委員就任し、翌年には宮崎市教育CIOに。
2022年より現職

神野:「令和の日本型学校教育」とは、一言でいうと「個別最適な学びと協働的な学びが往還する教育」だといえます。これまでの画一的な授業ではなく、一人ひとりが自身の興味や関心を探究できる学びの場を生み出していくことが求められているのです。

この根幹にSociety 5.0の概念があります。2030年に到来が予想されているSoeity5.0は、サイバー空間と現実空間を融合させ、経済発展と社会課題解決を両立させる社会だといわれています。

神野:いま私たちが置かれているSoeity4.0は、インターネットの普及によっていつ・どこでも必要な情報にアクセスできる情報社会です。

Society 4.0では自分にとって必要な情報を探し、それを活用する情報活用能力が求められていますが、Society 5.0では自分自身で課題を発見して他者と探究していく「課題発見/解決能力」が必要とされてきます

この変化に対応していくためには従来の詰め込み型で偏差値重視の教育ではなく、一人ひとりの探究心を磨く教育が大切になってくるのです。

さらに高まるグローバル人材の必要性

西川:トビタテ!留学JAPAN(以下、トビタテ)広報・マーケティングチームリーダーの西川です。神野さんのお話にもあったように、日本は国を挙げて教育改革に取り組んでおり、トビタテはその一環で2013年にスタートしました。これは企業や個人の方々からの寄付金で運営されている海外留学の奨学金で、高校生や大学生に展開しています。

西川 朋子:トビタテ!留学JAPAN 広報・マーケティングチームリーダー
人材会社と出版社を経て、2006年に(株)トゥモローの代表取締役に就任。その後、トレンダーズ(株)女性起業塾事務局長、PRプランナー、(株)ココナラの広報を務める。
2014年4月から現職。2018年より文部科学省の広報戦略アドバイザーを務める。

西川:トビタテ始動の背景には、日本の国際的な競争力低下という課題があります。たとえば平成元年には世界企業の時価総額ランキグトップ30に日本企業が21社入っていましたが、平成30年には0社に。

グローバル人材の不足も深刻な問題です。その原因は国内の人材不足、つまり少子高齢化という課題があります。人口減少が進み、国際的な競争力も下がっている日本。さらにAIの登場により、今後は仕事のあり方も変化していくでしょう。

このような状況で必要とされるのは、世の中の課題を発見し、周囲を巻き込んで解決できる人です。そのような人材を育む方法として、異なる環境に飛び込む留学経験が大切だと考えられたのです。

西川:留学に関するアンケート調査結果を見てみると、興味深いことがわかってきました。ひとつは都道府県よって留学する生徒の数が異なっていること。もうひとつはコロナ前後で生徒の留学意欲に変化がないということです

さらにアンケート対象の約7割の保護者や教員が「これからの時代に留学は重要」だと考えていました。コロナ禍を経ても留学の重要性は変わらず、むしろ高まると考えられているのです。

アンケートでは留学に関心のある人は社会課題への関心も高い点や、留学を経験した人は「時代の変化を楽しいと感じて、対応する自信がある」と回答する傾向があることもわかってきました。

越境で「マイノリティ」になる経験が他者への想像力を育む

小沼:ここからはお二人を交えてお話していきます。まず、学生時代に異なる世界へと越境する意味はどこにあるとお考えですか?

神野社会を見る視点を広げられることがあげられますね。たとえば東明館では今年の夏に高3の7名がウガンダへ行き、こども兵士の更生プログラムの見学や地元のお祭りに参加する経験をしました。そこで彼らは現地の人々と対話し、「アフリカってすごく貧しいと思っていたけど、実はそうじゃなかった」「現地の人がどんなことに困っているのかわかった」と、全く違う視点で社会を捉えて帰ってきました。その後も彼らは社会課題への探究を深めており、ウガンダに行ったことが大きなターニングポイントになっているようです。

小沼:異なる世界に飛び込むことで、視野が広がったのですね。
一方で留学や海外渡航をしたいけど一歩踏み出せない子がいた場合、周囲はどのように後押しできるでしょうか?

西川:部活や受験が忙しくて、なかなか新しいことに挑戦できない高校生は沢山いると思います。そんなときは、周りの人たちが一歩引き、「本人にとって何が人生で最も大切か」を考えるサポートをすることが大切だと思います。本当に高校は3年間で卒業しなければいけないのか?大学受験はその子にとって必要なのか?など、社会的な当たり前を押し付けずに、その子にとってのベストを考えていくことが大事です

神野:留学など海外で過ごすことは、「マイノリティになる経験」とも言えますよね。不慣れな土地に身を置き、知り合いのいない状況を乗り越える。自分がマジョリティである日本を離れ、「異なるもの」として見られる経験はマイノリティ性で社会的に困っている人の立場を想像できるようになると思います。

一方でマイノリティになる経験は、海外に行かずともできます。たとえば課外活動やサマーキャンプなど新しいコミュニティに入ることなどです。
人種の多様性がある環境であれば様々な文化的背景をもつ人と出会えるのでさらに良いですね。

西川:同時に大切なのが自分を知ることだと思います。いわば「自分の探究」です。友人や家族に「私はどのような人か」を聞いてみるのもいいですね。これまで気づかなかった自分の価値観などを知り、「これから何をしていきたいのか」見つめ直すことにつながります。

課題発見能力を伸ばすために必要な一歩とは?


小沼:イベント参加者者の方から「課題発見能力を伸ばすには、何をすればいいか」という質問がきています。いかがでしょうか?

神野:社会課題に興味を持ち、「なぜその課題が起きているのか」を考えたり、課題解決に向けた取り組みを調べたりすることが大切です。そうしていくうちに、その社会課題に対して自分なりの解決策を考えていく力も身についていくと思います。

西川:大きな社会課題だけでなく、身の回りで感じる「モヤモヤ」に向き合う経験も大切ですよね。生活のなかで感じる違和感について、「どうすれば良くなるのか」と考え、周りの人に相談しながら小さくてもいいので自分なりのアクションを起こしていく。そうしたアクションが自信になって、次の課題発見と解決への自発的な行動につながると思います。

小沼:社会課題って「誰かがなにかに困っている状態」ともいえますよね。この「誰か」に関心を持って対話する。そして、そこから生まれる「なんとかしたい」という感情をもとに行動していく経験が、課題発見能力を伸ばすと思います。

小沼:最後にお二人より、高校生のみなさんや人材育成に携わる方々へメッセージをお願いします。

神野:これまでと違う教育が求められたり、受験のあり方が変わったりしていますが、この変化は子どもの可能性を引き出せるチャンスだとも思っています。より多くの子どもがクロスブリッジのようなプログラムに参加し、世界とつながって将来の可能性を広げていってほしいですね。

西川:高校生のみなさんが将来を考えるとき、多様な選択肢を持って自分らしい道を選べるようになってほしいと思っています。そのためには、今いる場所から一歩飛び出してみてほしいです。クロスブリッジは関心の入り口にいる子ほど参加してほしいとのことなので、「私でも参加できるかな……」と自信のない子ほど参加してもらえるといいなと思います。

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2022年度のクロスブリッジの様子は、追ってお伝えします。
ぜひお楽しみに!


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