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環境問題に企業が取り組む意義とは?事例もご紹介!

現在、温暖化や海洋汚染など、私たちは多くの環境問題を抱えています。地球環境が悪くなれば、自然災害が多発し、飢餓や貧困の拡大など人の生活や命につながりかねません。しかし環境問題の解決は、国・企業・個人がそれぞれ行動しないと実現が難しいのが現状です。今回の記事では国と企業にフォーカスし、環境問題への対策や取り組み事例などをご紹介していきます。

現在地球が抱えている環境問題と国の対策とは

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まず、環境問題について確認しましょう。現在、私たちが抱える環境問題は多岐にわたります。
今回はそのなかから、
・砂漠化
・フロンガスなどによるオゾン層の破壊
・海洋汚染と海洋ゴミ問題
について解説し、日本の取り組みをご紹介していきます。

■砂漠化

日本では身近に感じる機会が少ないかもしれませんが、砂漠化は世界的に深刻な問題です。そもそも砂漠化とは、昔は植物があった土地が環境変化によって居住に適さない不毛の地となることをいいます。

砂漠化が進んだ地域では食料生産が困難に。また、生き物にとって必要不可欠な水の確保も難しくなり、居住ができなくなります。

砂漠化が起きる理由のひとつが森林伐採です。人間が食料を作ろうとして無計画に開墾・放牧することも、砂漠化の原因になります。加えて大幅な気候変動も砂漠化の原因となりえます。

現在、特に砂漠化が進む国や地域において国際機関のもと防止策の検討と実施がされています。日本はこれらの取り組みに対して経済的な支援や技術の提供を行っています。

■フロンガスなどによるオゾン層の破壊

地球はオゾン層によって守られています。オゾン層は太陽からの紫外線を吸収するため、地球上の生物にとって欠かせません。 しかし近年、このオゾン層に開いた穴(オゾンホール)が問題になっています。オゾンホールの原因の1つがフロンガスで、これは主に家電製品などから生じるものです。オゾン層がこれ以上ダメージを受けないように、日本ではフロンガスを含むオゾン層破壊物質の輸出入や排出を抑制する法律を作成。フロンの回収や破壊を定めた法律なども制定し、フロンガス削減に取り組んでいます。

■海洋汚染と海洋ゴミ問題

海洋環境の問題も深刻化しています。家庭や工場からの汚染水や適切に回収されなかったゴミが海洋環境の悪化につながっているのです。汚染水は海洋生物の減少とそれに伴う生態系の破壊につながります。

海洋ゴミも海洋環境に悪影響を及ぼしています。海洋生物がプラスチックゴミを誤飲して命を落とす、あるいはゴミを食べた魚が捕獲され人間の食用となり、結果として人体に被害が出るなどの問題が指摘されています。

日本では「海岸漂着物処理推進法」などを設けて、海の環境保全に努めています。この法律のなかには、「海岸管理者は、海岸のごみを処理するために必要な措置を講じなければならない」などが定められています。

企業が環境問題に取り組むメリット

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上記では環境問題と国の取り組みをご紹介しました。しかし、環境問題の解決は企業も主体的に取り組むことが大事です。以下では、日本企業の環境問題に対する取り組み事例をご紹介します。

■カルビー株式会社:環境問題への総合的なアプローチ

カルビー㈱では、事業活動を通じた地球環境保全の試みを実施しています。たとえば、「2030年までに廃棄物排出量を10パーセント削減する」「2030年までに水の使用量を10パーセント削減する」など、定量的な数字目標を掲げて事業を進めています。目標を掲げるだけではなく、定期的に達成度合いも公表。数字が悪い場合も公表するなど、情報開示を徹底する姿勢で環境問題に取り組んでいます。

■サントリーホールディングス株式会社:教育を通じた活動

「水によって支えられている企業である」との理念のもと、サントリーHD㈱では「水」の大切さを伝える「水育」を行っています。この取り組みでは子ども向けに自然体験プログラムや水育の出張授業などを実施。2004年の開始から、17年間で20万人が参加したという大規模なプロジェクトです。

■トヨタ紡織株式会社:植樹活動で砂漠化に取り組む

トヨタ紡織㈱は砂漠化への取り組みとして、モンゴル地方にある砂漠に植樹を行っています。現地と日本の社員によって実施され、8年間でおよそ8万本の木が植えられました。同社の植樹活動は対象地域における砂漠化の拡大を抑止したと言われています。対象地域では650haにわたり砂漠の固定化※に成功したと報告されました。
※砂漠の固定化:砂漠化が進まなくなった状態。固定化されたのち、時間の経過とともに植物が育つ環境に変わる

企業が環境問題に取り組むメリットとは

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上記では企業による地球環境保全の取り組みをご紹介しましたが、企業が得られるメリットはどのようなものでしょうか。経済的・人的コストをかけて企業が環境問題に取り組む背景には、メリットの存在もあるのです。以下では企業が環境問題に取り組む3つのメリットを説明します。

■環境課題の解決と自社利益の創出を同時に実現できる

環境問題は規模が大きく、解決には長期的な活動が必要ですが、企業が取り組むことで事業利益の創出も同時に可能だと言われています。主に3つの観点で利益創出が可能です。

1つ目が製品やサービス開発につながること。環境問題を解決するための製品やサービスはニーズが高く、その提供によって利益創出できる可能性があります。

2つ目の効果がコスト削減です。たとえば二酸化炭素の排出削減やエネルギーの見直しなどを通じて製造コスト削減につながるでしょう。

最後にBtoC企業の場合は消費者からのイメージアップというメリットもあります。地球環境に配慮している企業だという印象は、消費者の購買行動にプラスの影響をもたらすでしょう。

■ESG投資が期待できる

ESG投資とは「環境や社会に配慮し、不祥事などのリスクを管理できている会社に対して積極的に行う投資」を意味する言葉です。ESGの「E」は、「Environment=環境」を意味します。

ESG投資を行う投資家は「環境問題に取り組んでいる企業は、革新性を持っており、また長期的な成長が期待できる」と考えます。また投資家自身が「自分のできる範囲で環境保全に取り組みたい」という考えこのような企業に積極的にESG投資を行うケースもあります。

ESG投資は年々拡大を続けており、企業にとってESG投資を受けられるチャンス拡大はメリットといえるでしょう。

■企業自体の持続可能性が高くなる

いま環境問題に取り組むことは、20~30年という長期的な目線で企業活動を考えたとき必然といえるでしょう。年々深刻化する気候変動は、企業活動を含めた人々の生活に大きな影響を及ぼし始めています。日本では問題となっていないことでも、グローバルな規模で活動を行う企業にとって海外拠点の環境が悪化することは無視できません。より長いスパンかつグローバルな視野で考えたとき、「持続可能な地球環境を守ること」は企業の存続に直結するのです。

まとめ:環境問題と企業の存続はつながっている

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この記事では環境問題や日本企業の取り組み事例とメリットについてお伝えしました。深刻化する温暖化や海洋汚染などの環境問題に対して日本企業は様々な形で取り組んでいます。長期的な視点かつグローバルな規模で考えると、企業が環境問題に取り組むことに大きな意義があり、企業の存続自体につながります。まずは自社で取り組めることは何か考えてみてはいかがでしょうか。

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