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社会課題の解決に挑む新しいキャリア戦略!NPOへのキャリアチェンジで拓く可能性とは? 

社会課題解決につながるキャリアへの注目が集まるなか、「NPOセクターで築くキャリア」をテーマとしたイベントを開催しました。当日はコンコードエグゼクティブグループ代表取締役CEOの渡辺氏を迎え、社会課題解決キャリアが注目されている背景やNPOで得られるスキル、長期的なキャリア設計などについて伺いました!今回は80名以上が申し込んだイベントの内容をまとめてお届けします。(本イベントは2024/01/22にオンラインにて実施しました)

キャリアを通じた社会課題解決への関心の高まり

最初に渡辺氏より、社会課題解決キャリアの実態や今後の人材需要について伺いました。

渡辺秀和氏:株式会社コンコードエグゼクティブグループ 代表取締役CEO
大手シンクタンクを経てコンコードを設立。
戦略コンサル、投資銀行、事業会社CxO、起業家など1000人を越える
ビジネスリーダーのキャリアを支援。
著書『未来をつくるキャリアの授業』(日経新聞出版社刊)などがある。

渡辺:コンコードではキャリアコンサルティングをはじめ、大学生向けのキャリア教育、社会起業家への経営支援などを行っています。ご相談者の皆さまとお会いするなかで、近年は社会課題解決やサステナビリティに携わるキャリアへの関心が非常に高くなってきていると感じています。

それと同時に、サステナビリティ領域での人材ニーズも高まっています。世界的にもサステナビリティ経営関連の市場は拡大が予測されており、同領域に経験を持つ人材への需要はさらに大きくなるでしょう。

「未経験だけどサステナビリティ領域に挑戦したい」という方には、主に3つのキャリア選択肢が考えられます。1つ目がソーシャルスタートアップ。テクノロジーやイノベーションによって社会課題解決も実現していく企業で働く、というキャリアです。2つ目がコンサルやシンクタンクです。多くの企業がサステナビリティ経営に舵を切るなかで、それを支援するプロフェッショナルファームにおいても、同領域の事業が成長しています。

これらの求人内容の事例として、「ソーシャルスタートアップの事業開発責任者」「外資系コンサルティングファームにおけるサステナビリティ領域コンサルタント」などがあり、サステナビリティ領域の未経験者も応募可能というものも数多くあります。

そして最後にNPOですが、「ソーシャルスタートアップやコンサルなどの選択肢があるなかで、NPOを選択する意義は何か?」と疑問に思う方もいるかもしれません。この点について、もう少し詳しくお話しします。

いま、NPOでのキャリアを選択する意義

渡辺:NPOがソーシャルスタートアップやコンサルと異なる点としては「社会課題の現場と直接関わることができること」があげられます。現場の人々と顔を合わせて働き、直接感謝されたり、仕事を超えた関係性をつくれたりするのは、NPOならではの経験だと言えるでしょう。

「NPOに転職したら、その後のキャリアが不安……」という声もよく聞きますが、”トライセクターリーダー”の観点からNPOでのキャリア設計は長期的に見るとプラスに働くと思います。

トライセクターリーダーとは、民間・公共・社会という3つの領域をクロスさせてキャリアを形成する人々を指し、世界的にはビル・ゲイツ氏やアル・ゴア氏が有名です。

トライセクターリーダーとして社会課題解決に取り組みたいと考えた時、自身のキャリアにNPO勤務を入れることはある意味で必然ですし、それが高い評価を受ける時代になってきていると肌で感じています。

実際、当社のご相談者で15年以上NPOに所属し、マーケティングを担当していた方が外資系コンサルファームでマネージャーとして転職した事例があります。その方はコンサルタント未経験でしたが、NPOでの経験が評価されてビジネスセクターに転職を果たしました。

トライセクターリーダーは日本ではまだ非常に珍しいので、今のタイミングでNPOに転職することはキャリア設計として優位に働くのではないでしょうか。

「NPOだからこそ」取り組める社会課題がある

次にクロスフィールズ小沼の視点から、キャリアとしてNPOを選択する意義についてお話ししました。

小沼 大地/NPO法人クロスフィールズ 共同創業者・代表理事
青年海外協力隊としてシリアで活動した後、2008年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2011年5月NPO法人クロスフィールズ創業。

小沼: 私は青年海外協力隊、外資系戦略ファームを経てNPOを創業したので、ソーシャルとビジネスどちらも経験しています。そんな私の視点からお伝えすると、NPOで働く醍醐味の1つに「社会課題に正面から向き合えること」があります。

大企業やソーシャルスタートアップが社会課題解決に取り組むなかで、利益を生み出して経済性も担保することは必要なファクターです。一方で世の中にはどうしても経済性を成り立たせることは難しい課題領域があり、NPOはそういった課題にこそ取り組むことが求められています。つまりビジネスの領域では取り組めない社会課題に向き合い、その解決に深く関われることがNPOの強みだと思います。

また、多くのNPOは少数精鋭であるため、裁量を持って仕事に取り組めることも魅力だと感じています。さらに言うと日本全体としてトライセクター人材がまだ少ないため、NPOでの経験を持って他のセクターで活躍するチャンスが期待できるのではないでしょうか。(NPOで働く意義については、こちらのnoteで詳しくご紹介しています)

参加者からのQ&A

当日はイベント参加者から多くの質問をお寄せいただきました。以下ではその一部をご紹介します。

Q. 現在コンサルタントとして働いています。
NPOに興味はありますが、転職後のキャリア構築や年収ダウンが不安です。

渡辺:NPOへの転職時は年収が下がることもあるでしょう。しかし、現職のコンサルタント経験にNPO経験が掛け合わされれば、その次のキャリアチェンジの際には今の年収に戻る、もしくはさらに上がることも十分に可能だと思います。また、NPOではビジネスセクターでは得られないネットワークや知見を獲得でき、それが社会課題解決領域でのキャリア形成に役立つでしょう。

小沼:実際、クロスフィールズの元職員には、外資系コンサルティング会社やスタートアップのマネージャー職に転職したメンバーもいるので、「一度NPOに入ったら、もうビジネスセクターに戻れない」ことは決してないと思います。加えて、個人的にソーシャルセクターで働く経験は、キャリア設計において、年収だけではない新たな成功の価値基準をつくる機会になりえると思っています。たとえば「働くことで何を成し遂げるのか」「どんな価値を社会に届けるのか」など、キャリアを考える上での新しい価値観を見出す方が多いです。 

渡辺:私は50〜60代のエグゼクティブ層からの相談に乗ることも多いのですが、彼らの大半が「社会に良い影響を生み出したい、次の世代によいものを残したい」と考えています。なかには社会的企業の創業に踏み切る方や、投資を通じてNPO/ソーシャルスタートアップを支援する方もいるのです。そのため、若手や中堅のフェーズで社会課題に関心を持ち、さらにそれをキャリアとすることは、一歩先に進んだ行動であるとも言えるでしょう。

Q. プロボノとしてNPOに関わるのはキャリア構築につながるでしょうか?

渡辺:最初の入り口としてプロボノは良いと思いますが、今後のキャリア構築を考えるうえではフルタイムでコミットするほうがよい深い経験につながると思います。

小沼:プロボノはとても良い仕組みですが、大半のNPOは平日にコアタイムがあるので、平日夜や休日のプロボノはメンバーやステークホルダーとの接点がどうしても減ってしまう。そういった点も含めて、まずはご自身がどのくらいNPOに関わってみたいか考えていただくのがいいかもしれません。

とはいえ、プロボノは社会課題解決を目指すキャリアの入口として素晴らしい活動だと思っています。自分自身も会社員時代にはプロボノ活動をすることで、次なるキャリアが見えてきた経験があります。 

Q. NPOだからこそ得られる、転職時に役立つスキルや経験は何でしょうか?

小沼:先ほど紹介した「社会課題に正面から向き合う」という点に加えて、社会的インパクトの視点で意思決定する経験を積めることです。この視点はソーシャルセクターで働かないと得られないものですし、ビジネスなど他のセクターでも存分に活かせると思います。

渡辺:サステナビリティ領域の経験を持つ人材を求める企業が増えていますので、NPO出身者はよいポジションを得やすいでしょう。しかし、新しい領域であるがゆえに、求職者と企業をつなぐエージェントの力量が不足しているケースも少なくありません。

NPOでのキャリアをきちんと理解し、ベストな企業にマッチングできるエージェントと付き合っていくことは、みなさんのキャリア形成のうえで大切だと思います。

NPOがキャリア選択肢となる時代に変化

最後に、登壇者から参加者へのメッセージをご紹介します。

渡辺:NPOをはじめ、社会課題解決に携わるキャリア選択は様々あるので、まずはご自身に合った働き方を考えていただくのがいいかと思います。どのような形でもライフワークとして社会課題解決に取り組む人が増えたら、もっと世の中が良くなって素敵だなと思いますし、そうした方をサポートできると嬉しいです。

小沼:クロスフィールズを創業して13年目になりますが、ようやくNPOのキャリアが社会で評価されるようになってきたと実感しています。渡辺さんとのお話を通じて「NPOだからこそ経験できること」を改めて認識できましたし、NPOを経験した人材がどう評価され、どのようなキャリア構築ができるかということがより見えてきた感覚です。

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