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留職やフィールドスタディで協働!共感の価値を共に広めた10年の旅路

インドを拠点とする社会的企業のDrishteeは、これまで留職プログラムの受け入れや海外型の社会課題体感フィールドスタディにて10年以上、クロスフィールズと協働してきました。今回はDrishteeの共同創設者であるスワプナさんを迎え、協働のきっかけやプログラムを通じて生まれた変化などを伺いました!

Swapna Mishra(スワプナ・ミシュラ)さん
Drishtee Foundationの共同創設者/事務局長。コミュニティリーダーシップを通じた自立と自給自足を実現するためDrishteeの様々なプログラム構築に携わる。
専門分野はコミュニティ形成、起業支援、女性のエンパワーメント、能力開発。

留職が団体活動を加速させると確信し、2013年より協働

――Drishteeについて教えてください。

Drihsteeは2000年に創業し、従業員数は約250名の組織です。農村地域における持続可能な生活と発展を目指して様々な事業を展開しています。具体的には道路などインフラ不足の地域における流通網の整備や行政/銀行サービスの拠点設置などを行い、他地域へのアクセスが難しい農村地域の人々も生活に必要なサービスを受けられる仕組みを作っています。同時に彼らが持続的・自立的に所得を得るため、起業支援なども行っています。

クロスフィールズとは2013年より協働し、留職プログラムではこれまで4人を受け入れました。また、2020年と2024年には複数社合同・海外版のフィールドスタディ・SIM(ソーシャルイノベーションミッション)でも協働しています。

ーー留職者を受け入れた理由は何ですか?

クロスフィールズと出会った2013年、Drishteeは各事業におけるシステムを向上させ、農村部における取り組み全体を加速させていく必要があり、革新的なアイデアや技術、専門的な知識を持つ人材を求めていました。そのようなタイミングで留職のことを聞き、「日本のビジネスパーソンが持つ知識やスキルは、私たちが取り組む農村の発展やコミュニティづくりの助けになる」と確信し、留職者を受け入れることにしました。

最初に受け入れたのがNECから留職した安川さんです。ITを活用した物流網の改善など担当してもらいました。彼は留職当初からDrishteeメンバーやコミュニティの人々と積極的にコミュニケーションをとり、信頼と共感を元に関係構築をしていったことがとても印象的でした。さらにプロジェクトマネジメントにも長けていたため、他のメンバーと巻き込みながら想定以上の成果を出してくれました。

最初に受け入れた留職者・安川さん(写真・左)

ーー留職は組織にどのような変化を生み出しましたか?

様々な経験や知識がある留職者は、当団体のメンバーに新しい視点をもたらしてきました。留職者が特定のチームに属して活動していても他のチームとの交流も多いので、結果としてたくさんのメンバーが留職者から学びを得ていきました。ITをはじめ個々人が各分野での専門知識やスキルがあり、ビジネスの文脈もわかる留職者は、事業の観点でもDrishteeの発展に大きく貢献してくれました。

留職者の活躍の背景にはクロスフィールズのマッチングが素晴らしいことが挙げられます。私たちが必要とする業務知識があるという点だけではなく、Drishteeのビジョンに共感する人を派遣してくれるので、一緒に働きやすいのです。

留職の派遣期間も重要なファクターだと感じています。例えば安川さんは約5ヶ月にわたり活動してくれました。この期間において、彼は農村地域でも多くの友人を作り、Drishteeの一員として事業やコミュニティに深く関わることができました。5ヶ月という一定以上の期間があるからこそ、ITに関する業務を行うだけではなく、現地の人々と交流して日常のなかで課題を発見したり、その解決にも取り組んだりできたのです。

農村を訪問する留職当時の安川さん(写真・右)

「社会課題の現場を体感」を経て変化を生み出してほしい

ーー留職者に対して、どのような期待を抱いていますか?

留職者には現地の農村が持つ価値を体感してほしいです。人々が互いに支え合って営みを育むコミュニティから、新たな価値やインスピレーションを得てもらえると思います。

村を訪れると、村人たちの温かさを感じ、家にあるものを惜しみなく提供してくれる光景を目の当たりにするはずです。この経験から留職者は、村の人々から「何かを受け取った」と感じるでしょう。

私たちはこの経験が留職者の視点を変えることを期待しています。この経験によって企業の意思決定プロセスが、例えばインドの農村にも思いを馳せるような広い視点でなされ、結果として世界全体にポジティブな変化をもたらすと信じています。

――2020年と24年は海外版のフィールドスタディのSIM(Social Innovation Mission)でも協働しましたよね。

SIMは日本の大企業の役職者が1週間インドに滞在し、現地の社会課題の体感や課題に取り組む団体の訪問するプログラムでした。Drishteeも訪問団体の1つとして日本からの参加者と対話を行い、彼らに団体の理念や活動内容を伝え、農村にお連れしたしたこともありました。

留職と比べるとSIMは短期間ですが、参加者が「自身の会社で、どのような事業を通じて社会課題の解決ができるか」と考えている姿が印象的でした。Drishteeへの訪問を通じて、参加者が身の回りのコミュニティや未来について考え、積極的に行動するきっかけを育めたらと願っています。

SIMでのワンシーン

今後もさらなるシナジーを生み出したい

ーー クロスフィールズへの期待やメッセージをお願いします!

Drishteeとクロスフィールズには、様々な共通点があると思います。1つは両組織とも変化を続けていることです。私たちは「社会」というコミュニティの変化に呼応し、そのニーズに応える形で、組織自体も変化し続けています。その点、クロスフィールズも同じですよね。

もう1つの共通点は、チーム構成のあり方です。Drishteeではチームワークを大切にしていて、ヒエラルキー的な組織構造ではありません。クロスフィールズもチームワークが機能している組織なので、チームのあり方も似ていると感じています。

Drishteeは「Sharing(共有)」の価値を広め、より幸せな世界の実現に向けて歩みを続けていきます。このなかでクロスフィールズとはますますシナジーを生み出すことができると思っています。お互いの持つ経験や知識、アイデアを共有し合うことで、さらに多くの「魔法」を一緒に生み出せると信じています。

編集後記

10年以上前からクロスフィールズと協働してきたスワプナさんにお話を伺えたことは、非常に貴重な機会でした。インタビューを通じてDrishteeが大切にしている「共感」や「信頼」の素晴らしさを実感しました。これからも様々な事業を通じて共有と信頼の輪を広げていくことに期待が高まります。(インタビュワー:中村翠・クレイネス映奏)

写真左より:スワプナさん、中村、クレイネス

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Drishteeで活動した安川さんの記事はこちら
SIMに関しては以下の動画をご覧ください。